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巫女乃禄  作者: 若猫老狐
白と黒
132/182

関西御前試合〜一回戦〜 (3)

御前試合の一回戦は後半。

アイサと風花は危なげなく初戦を突破、

『続いて…一回戦……最後の試合…?』

司会をしていた小百合が辿々しくアナウンスする。

「どないした?」

和泉がトーナメント表を覗き込むが違和感は無い。

「和泉…八幡神宮に"黒刃"と言う巫女は居るかしら?」

「は?知らんで…稲荷のもんちゃうんか?」


二人の顔が蒼くなる。

「なんだか様子がおかしい?」

観客席の青井は違和感に気付く。

「どゆこと?」

風花は戦場にいる黒い巫女装束に気付いていない。

「あれ…なんだ?」

『嫌な気…あれは人間じゃない』

アイサとアイカはそれが放つ雰囲気を恐れる。


娘伯は言った。

「……クロ」

『始め!』

止める訳にはいかず小百合は号令を掛ける。

クロ…黒刃と呼ばれた巫女は夜の娘伯と同等の速度で対戦相手に迫りくる。

「ひっ…はや…」

構えるより早く黒刃の現した太刀が巫女の首を斬り通した。


一瞬の痛みに相手はなす術なく気絶する。

決着に会場はしんと静まり返った。

「八尾狐…これが目的…」

娘伯は呟く。

クロはこちらに気付くと無邪気な笑顔で手を振っていた。

『だ…第一回戦…これにて全ての試合が終了…二回戦は十分後に始めるわ』

小百合のアナウンスで会場は声で溢れる。


「あ!娘伯さん!」

観客席を飛び出して娘伯は戦場へ飛び降りる。

「クロ!」

呼び止めた所で何をするかは考えていない。

しかしフードを被った男…ウェンフーによってそれすらも遮られてしまう。

「面会謝絶だ……言いたい事があるなら決勝まで残って見せろ」

フードで顔を隠してもほくそ笑んでいる事は分かっている。

トーナメントの端と端に配置された娘伯と黒刃、

相見えるには決勝まで勝ち続けるしかない。


娘伯は二人が控え室へ去るのを見届けるしか出来なかった。

「娘伯様…さっきの巫女は…」

異変に気づき娘伯へ駆け寄る小百合と和泉。

「クロ…都会で出会った八尾狐の…手先」

「あー報告にあったヤツか…にしても娘伯そっくりや…んな!?」

和泉が本音を漏らし小百合にはたかれた。


「そんな訳ないでしょう…娘伯様のような気品さが…まるで無いわ」

遠目で見ると似てるのだろう、

小百合は若干言葉を詰まらせるもそれを否定する。

「一緒に居たのは八尾狐…」

「アイツ…妖滅巫女の真っ只中に居座るとはええ度胸や…一発殴って…んだ!?」

腕を回しやる気十分な和泉をまたしてもはたく小百合。


「無駄な犠牲を出したくないなら大人しくしてなさい…もうすぐ第二回戦よ…娘伯様準備を」

「…ん」

心のモヤを抱いたまま娘伯は戦場の近くで開始を待つ。

観客席ではアイサと風花が僅かな出来事に驚いている。

「あれは…娘伯なのか?」

「確かに似てるけど…妖滅連合の検査だと人間でも妖怪でも無いんだって」


アイカと青井は次の試合の為に戦場へ降りている。

「見た所…手練れ…勝てるのか?」

風花が二回戦を勝ち進むと次の相手は恐らく黒刃だ。

しかし風花と青井には他の誰にも言ってない勝算がある。

「大丈夫だって!ババっと勝ってその後はアイサと戦うつもりだからね!」


妙な自信だとアイサは呟く。

「二回戦…始まりだ」

『二回戦は第一試合…第二試合…』

小百合のアナウンスで娘伯とアイカ、青井と稲荷の巫女が一礼をする。

『始め!』

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