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巫女乃禄  作者: 若猫老狐
白と黒
131/182

関西御前試合〜一回戦〜 (2)

『続いて第三試合!第四試合!』

第四試合には青井が含まれている。

「よ…よろしくお願いします!」

一礼し構える両者。

相手は稲荷大社の刀使い。

「いざ参ります!」

果敢に間合いを詰める巫女に対し青井は弓矢か霊的空気銃を出すかで悩んでいる。


「ぁ…わっ!」

振り下ろされた刀を慌てて避ける青井。

「意地悪やなぁ」

「相性の良し悪しなんて当人次第よ」

結界の壁へ触れそうになり青井は弓矢を繰り出す。

まず真上へ一矢、緩やかに上昇し一瞬停止する。

「はっ!」

続けて巫女を狙い放つが刀であっさり弾かれる。


好機とばかりに巫女は刀を振り上げる。

「覚悟!」

「いっ…つぅ!」

しかし青井は背の結界に触れると反動を利用して横へ飛び退いた。

空を切った刀を構え直すが、

「ぐっ!?」

最初に放った矢が下降すると巫女の脳天に直撃した。


強烈な一撃に耐えきれず巫女は失神してしまう。

『勝負あり!』

小百合は決着を高らかに宣言した。

「な…なんとか…あ!大丈夫ですか!?」

安堵も束の間、倒れた巫女に青井は駆け寄る。

「この程度なら御前試合では怪我にも入らないわ」

「後は救護班に任せとき!」

小百合と和泉は日常茶飯事とばかりに語る。


「そ…そうですか…」

担架で運ばれる対戦相手を見送ると青井は次の課題に気付く。

どうすれば接近されても対処出来るか、

それは妖怪との戦いでも起こりうる事態だろう。

「……風花と相談しよう」

青井は観客席へ戻る。


「やったね青井!」

「ちょっと来て風花」

称賛もほどほどに青井は風花を連れ席を離れる。

「どうしたんだろう」

「青井…間合いを狙われていた…辛勝」

アイサが戦いを見抜いていた。

娘伯には余裕のある対戦に見えたのだろうか首を傾げている。


「ところでアイカは?」

試合が終わったのに戻ってこない。

ちょうど良くアイサに念話が走る。

「……迷子…迎えに行く」

アイサもアイカを探しに席を立った。

『続いて…』

試合は巡り一回戦も後半に入る。

しばらくは稲荷大社と八幡神宮の巫女との対戦が続く。


退屈そうに娘伯は眺めていたが、

一席空けて座ってきた相手には目もくれない。

「やはり…お前も来ていたか」

「……」

フードを被り場に相応しくない姿をしている者。

「どうやって入ってきたの?」

娘伯は淡々と訊ねる。

周りに気取られないよう表情もそのままだ。


「此処の筆頭はよほど人望に溢れてるようだからな…誰も疑わなかったさ」

フードの暗闇から紅く光る瞳。

それは巫女と対峙すべき妖怪の証。

しかし男はただの観客のように振る舞っている、

「此処で貴方を滅する事も…」

「いいのか?そんな事をすれば折角の御前試合は台無しになるだろう?」


男は解っていて娘伯を煽る。

今すぐにでも手中の小刀を振るうべきだがぐっと堪える。

「それに今回はお前達の余興に従っているんだ…此処での俺は客人だろう?」

「目的は?」

男はニヤリと笑む。

「調整の終わった"彼奴"がどれほどのものか試す…それが終わったら何事も無く此処を去るつもりだ」


言葉を残して男は立ち上がる。

「まぁ精精楽しむといい」

「貴方の…好きにはさせない」

娘伯はそれを見送る事なく観戦を続ける。

『なぁ…娘伯…あれって…』

「黙っててツクヨミ」

苛立ちを隠せず娘伯はただ拳を握りしめた……。

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