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巫女乃禄  作者: 若猫老狐
白と黒
130/182

関西御前試合〜一回戦〜

『寒波来たるこの季節が今年もやって参りました』

会場の中心で小百合がマイクを持ち始まりの挨拶を述べる。

隣には急かしてるのか和泉がわざとらしく貧乏ゆすりしている。

『今回は稲荷大社、八幡神宮に加え関東と東北の巫女も御前試合に臨む事となります』

「いよいよですね!」

「ん」

「緊張する…」

娘伯達は自前の巫女装束に着替えを済ませている


参加者の巫女達は観客席で小百合のスピーチを見守る。

『日々の妖怪退治の経験となるよう皆精進して…』

『あーもう長ったるいわ!』

和泉が痺れを切らしマイクを奪ってしまう。


『優勝者にはお好み焼きと酒をおごったる!頑張って勝ち上がってみいや!」

八幡神宮の巫女が筆頭の言葉に奮い立つ。

マイクを取り返した小百合は勿論物申した。

『与える事が出来るのは御前試合優勝者と言う名誉だけ!物で釣るなんて意地汚いんじゃないかしら!』

『おまけはあった方がええやろ!花より団子や!』


「今年も始まった」「今回はどれくらい口論するのかしら」

他の巫女が小声でそんな事を話す。

口喧嘩は毎年恒例らしく止める者も居ないようだ。

「相変わらず…みたいで」

風花も苦笑いで漫談を見届ける。


『あーもう!時間が押してるから!一回戦は第一試合と第二試合始めるわよ!』

バレーボールコート程の四隅を結界担当の巫女が立つ。

2試合を同時に行うようだ。

「あ!第一試合は娘伯さんですよ!」

掲示板に現れたトーナメント表はいの一番に娘伯の名が載っている。

対するは稲荷大社の巫女だ。


「行ってくる」

「頑張ってください!」

青井と風花に見送られ娘伯は戦場へ急ぐ。

残った二人の横にアイサが座った。

「あれ?アイカは?」

「……第二試合」

既に準備しているアイカを見つめる。

その表情は自信に満ちているようだ。


「確かアイカちゃんは後衛担当の筈じゃ…」

「前より力を付けた…今のアイカ…アイサ以上」

アイカと対戦するのは八幡神宮の巫女…見るからに血気盛んである。

一礼し戦場へ足を踏み入れると四隅の巫女は結界を発動させた。

万が一強力な攻撃が放たれても周囲の被害を抑える為だ。

『第一試合…第二試合…始め!』


小百合の号令で御前試合は始まる。

娘伯は手に貼られた御札に意識を集中させ小刀を現す。

「なぁ小百合…一番手に娘伯選んだんはびいきやろ?」

「さぁ何のことかしら…公平にトーナメント表を作成したつもりだけど?」

職権濫用と言うべきか和泉はため息をこぼす。


直後、第二試合の方から歓声が上がった。

アイカが立ち対戦相手である八幡神宮の巫女は倒れている。

「あれ…何が起きたの?」

青井と風花は困惑する。

娘伯の試合を注目してただけにアイカが何をしたのか全く見れていなかった。

「ふふん」

アイサも得意げに笑みを浮かべる。


「集中…集中…っ!」

娘伯は人並みの速さで対戦相手へ間合いを詰める。

稲荷大社の巫女は式神一柱を繰り出し娘伯へ襲いかかった。

小百合のそれとは練度が違う緩やかな軌道を難なく避ける娘伯。

そして妖怪を退治するように巫女の首元へ小刀を寸止めした。


「ま…参りました」

敗北を認めた稲荷大社の巫女。

これで第一第二試合はあっさり決着がついた。

「なんや味気無いなぁ」

いまいち盛り上がらなかった和泉がそう愚痴る。

「まだ初戦よ…手の内を明かす事はしないでしょう」

小百合はマイクのスイッチを入れる。

次の試合の合図だ。

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