四獣共闘 (4)
境内へ出た青井と風花。
『移動なら我らを使うと良い』
朱雀が促し青井は御札を取り出す。
「本当に大丈夫ですよね?」
霊力を込め空へ放つと御札から朱雀の姿が現れる。
それは契約時と同じ人が乗れるほど巨大な姿だ。
「おぉ!凄い!」
風花が感嘆の声を上げる。
『我も使え!』
風花は促されて白虎の御札を使った。
白虎もまたぬいぐるみとは程遠い猛々しい姿を見せる。
『背にしっかり掴まっていろ!』
風花が乗ると白虎は風のように境内を駆け鳥居を抜ける。
「待ってよ風花!」
青井を乗せた朱雀も後を追う。
住宅街を疾走し四獣と巫女は妖怪を探す。
「まさか四獣様を従える事になるなんて…バイトを始めた時は思ってもみなかった」
都会の風を受け青井はそんな事を呟く。
『汝らは望んで戦っているのではないのか?』
朱雀は横目に訊ねる。
「最初は妖怪も疑ってましたし…でも今は違います」
「私達はもう道を逸れたりしない…だから一緒に戦ってくれるよね?」
駆けながら風花の決意を聞き白虎は笑みを浮かべる。
『当たり前だ!我らの力…存分に使え!』
やがて景色はビル群へ移り大通りへ出る。
普段ならば人にまみれ車が往来する道は避難が完了し異様な静けさを放っていた。
『獲物はどこだ!』
猪突猛進を続ける白虎。
「ちょっと止まって!」
『何故だ?動かなければ見つけられな…ぐわ!』
背中の毛を引き白虎を無理やり止めた。
「地面が揺れてるような…地震?」
車道へ降り微かな揺れを感じて風花は息を飲む。
規則的な揺れは徐々に大きくなり近づいているようだ。
「青井ー!何か見えるー!?」
「見えない!この近くには何も無いよ!」
上空を旋回する朱雀と青井はがしゃどくろの姿を見つけられず違和感を感じている。
『幾ら都会が"高い筒"で遮られていても巨大な妖怪ならば我の眼で見つけられる筈』
「この感じ…何処かで……そうだ!暴れ蜘蛛の時の…!」
妖怪が隠れているならば既に近くへ迫っているのだろう。
「風花!一旦移動して!」
『ボサッとするな!掴まれ!』
白虎にも促され風花は渋々背に乗る。
直後、アスファルトに亀裂が走る。
巨大な骨の腕が地面を割ったのはそれから数秒の事だった。
「うわぁ!?で…でかい!?」
風花を狙っていた骨の手はトラックを玩具のように摘めるほど巨大。
咄嗟に避けたおかげで不意打ちは免れた。
伸びた手は地面を支えにその身体を起き上がらせる。
がしゃどくろ。
骨の身体は下半身こそ無いもののビルをなぎ倒すには十分な大きさを誇っている。
ぼんやりと骨の奥で赤い瞳が風花達を捉える。
『ギイイィィィイ!!』
耳を塞ぎたくなる不快な音ががしゃどくろから鳴り響く。
明らかな敵意を向けて骨の腕を振り下ろした。
「あんなの…どうやって倒せばいいの!」
白虎にしがみつきながら風花は悪態を垂れる。
避けた後で凄まじい衝撃と轟音がアスファルトを抉った。
『あれほどの巨体なら核がある…それを討てば滅せる筈だ』
上空から観察する朱雀。
その背に乗ったまま青井は弓矢を構えた。
「なら小手調べで撃ってみるしかないですね…はっ!」
直線に近い弧を描き放たれた矢はがしゃどくろの後頭部に刺さる。
霊力を帯びても蚊に刺された程度のようにがしゃどくろは視線を青井達の方へ向けた。
『ギイィィ!』
腕を伸ばし掌を広げ襲いかかるのを見計らい、
朱雀は朱の翼を畳み地面へ急降下する。
『振り落とされるな!』
「くっ…!」
歯を食いしばり降下の風圧に耐える青井。
空を切り骨の指をなんとか避けていく。
そして激突するより早く朱雀は体勢を整え地面を掠め滑空した。
「何か策はあるの!?」
朱雀と併走し白虎に乗る風花は作戦を練る。
『白虎よ!我と連携出来るな!』
御札の中の玄武が問う。
『我らで突破口を開く!弓の巫女は青龍とで必殺を与えろ!』
地面を抉りながら白虎は反転する。
騎乗に慣れてきた風花は片手で薙刀を構え攻撃に備えている。
『我には核を射抜く力がある…だがその前に阻まれては無意味』
青龍が御札のまま妖怪を見極める。
「もう一度上昇して風花の後に攻撃…これで退治できますか?」
『あと一手打つべきだ!我の力を扱え!』
朱雀が炎を纏うと青井の矢にも火種が付与された。
霊力と合わさった朱雀の矢は先程よりも燃える一撃を与えられるだろう。




