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巫女乃禄  作者: 若猫老狐
白と黒
117/182

【29】四獣共闘

勝一が清天神社へ来なくなり一週間が過ぎてしまった。

何度か青井や風花が自宅へ通ったが、

居留守を決め込んでいるのか会う事すら出来なかった。

朝の社務所には今日もクロが個室で暇な時間を過ごしている。

その気配に駆られてか娘伯も普段より早く起きて彼女を監視していた。


「…早く妖滅連合へ連れて行けばいいのに」

ちゃぶ台に肘をつき娘伯はそんな事を呟く。

「クロは…じゃま?」

当然のように反応してクロは訊ねてくる。

少し考えて娘伯はため息を返した。

「クロは人間じゃない…だから此処に居るべきじゃない」

「でも…此処には女の鬼がすんでる…」


「そう…鬼が……待って…私達は一度も椿鬼の事を話してない」

彼女は椿鬼に会っていない、

何故かそれを知っているクロに娘伯は眉間に皺寄せた。

「どうしてその事を知ってるの?」

「どうして…クロにもわからない」

忘れていた記憶の一部を取り戻したのだろうか。

娘伯は譲る事なく尋問を続ける。


「思い出して…貴方は何処で生まれたの?」

「うすぐらい…えきたい…っ!」

頭の痛みを訴え言葉が途切れるクロ。

「貴方の仲間の事は?八尾狐とはどんな関わりを?」

しかし娘伯が肩を掴み視線を合わせ無理やりに話を続ける。

「やだ!…いたいよ!」

「娘伯や!何をしている!」


クロの悲鳴で目を覚ました元斎が娘伯を怒鳴る。

これ以上続ける訳にもいかず娘伯は力んでいる手を放した。

「クロが記憶を思い出しかけていた…」

「だからと言って強引に引き出そうとするのは良くない」

思わぬ形で説教を受け娘伯は肩を縮こめてしまう。


「大丈夫か?」

「お…じ…」

クロにそう呼ばれ元斎は昔の記憶を思い出す。

彼女の面影はやはりギンとそっくりなようだ。

「心配…するな」

震えた声でそう答える元斎。

怯えていたクロは元斎に抱きつく。

しばしの静寂に娘伯が口を開きかけたがクロの異変に気付く。


何故涙を流しているのか、

娘伯はそれを直接訊ねる事は出来なかった。

『朝からお邪魔します』

社務所の入り口から仮面越しの声が聞こえる。

狐の面を被った妖滅連合の遣いが訪ねてきた。

元斎は慌ててクロを放す。

決してやましい思いがある訳ではない。


「どうした?」

『どうしたではありませんよ?そろそろ…彼女の引き渡しを承認して頂けませんか?』

単刀直入に告げた遣いの声は圧が掛かっている。

有耶無耶に今日を迎えた元斎に痺れを切らしたようだ。

「どうしても…クロを渡さなければならないか?」

対する元斎も動かない決意で睨みつける。


『もっと強引な方法を取ってもいいのですよ…こうやって引き延ばしにするのも限界なのです』

遣いもまた上からの命令で動いている。

それを昔馴染みだからと言い訳に無理をしている。

『本人の意思もなるべくは尊重します…ですから先ずは安全の為に妖滅連合で保護させてください』

「伯父が頷けばいいんだから…これ以上迷惑をかけせないで」

娘伯にまで言われ元斎は俯いてしまう。


「クロは…しょういち…探す」

場違いなクロの言葉に怒りを買ったのは娘伯だ。

「いい加減にして…勝一は貴方の力になれないの」

「勝一にクロを任せてしまったのは…間違いだったかもしれない」

元斎は自分の無責任さを恥じた。

決断はもっと早くするべきだったと答えを出す。

「遣いよ…クロをよろしく頼む」


『畏まりました…下に車を用意していますのでそこまで…?』

「やだ…」

小さな声は確かな力を感じた。

クロの目つきは先程より鋭くなっている。

まるで娘伯が妖怪と対峙した時のような、

「クロは…わたしは…やだ!」

その衝撃波は妖力を纏っていた。

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