表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人の日常は語られる。  作者: レメデ 小柳
2/2

ミヤ





蒲田駅。

飲み屋やホテルが栄えていて、終電間際まで明るい光が街を包み込んでいた。



私は西口から出てすぐの喫煙所で時間を潰している。

今日会うのは"関係"を持ち始めてから3ヶ月ほどの男。名前はユウタロウ。

今時の可愛い顔立ちと、それに似合わない背の高さ、そして笑うとできるえくぼが印象的な人だった。





2月半ばを過ぎたこの季節、寒くてタバコを持つ手が震える。冷たくなった手が痛みを覚える頃に、私は思う。

「 自虐 」

タバコを吸う行為も、かじかんだ手を温めることもしないその様はまさにそうだった。



もし、これが大好きな誰かに会うためだったら…

きっと私の心はこんなに死んでいなかったと思う。





灰を地面に落としながら正面の喫煙スペース用に立てられたガラスに映る自分を見て、確認する。

私が可愛いことを。



大丈夫



大丈夫





「 おまたせ、ミヤ 」

振り返るとユウタロウがいた。いつもの深緑のコートにグレーのマフラー。

「 遅いよ 」

「 ごめんなさい。タバコ、フィルター燃えそうだよ? 」



ひょいとタバコを奪うと灰皿に揉み消さずに入れる。その長い指が、大嫌いだ。

その一連の動作を目で追いながら、私はお礼を言う。

「 ありがとう 」

「 早く行こう。寒くてたまらん 」

そうはにかむ笑顔に私は笑顔を返せない。

いつもそうだ、相手の感情が高ぶるほどに冷めて行く。



歩き出す彼の背中を、手をポケットに突っ込みながら早足で追いかける。

「 いつものところでいいよね 」





22歳、冬。



私、山下ミヤは、これからこいつとセックスする。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ