滅亡。共存。
腹が減ってたのもあって、結局プリンを全て食べてしまった。
食べたが別に体に変化は感じられなかった。
じゃあなぜプリンを?
俺が四角いプリンを食べ終えるなり、真ん中のじいちゃんが口を開いた。
「どうだい。美味しいかね?」
うん、確かに美味しかったので素直に感想を述べることにした。
「ああ、美味かったですよ。 まぁ、欲を言えばカラメルも欲しかったですね」
その言葉をメテア復唱すると、じいちゃんは俺の言葉を理解した様だった。
「よかった、よっかった……どちらともの意味でね」
どちらとも? まぁいいか。
どうやら俺に害を加える気はないようだ。
「では、話も通じるようになったようだし、本題に入るよ」
「そうですね、話の通じるように……ん?」
俺……なんで言葉わかるんだ!?
俺が急に黙るので、メテアも困惑しているようだ。
「どう……したの?」
メテアが俺に問いかける。
「いや……なんで俺、言葉わかるのかなあと」
そう言うと、メテアはハッとして説明してくれた。
「プリン……食べたから……だよ?」
「……!」
このためのプリンか。
「……今私が喋ってるのはこっちの言葉……メヴァ語」
うお、途端に言葉が流暢になったな。
でも確かに聞こえているのは、そのメヴァ語のようだ。
でも……なんか言いたいことがわかる。
頭の中で、途端に変換されるような?
英語マスターすればこんな感じかな、みたいな?
一方喋れはしないようだ。
うーん、なんか複雑だな。
まぁ、大体状況は理解した。
「……じゃあ、あの人たちにも食べさせれば良くないか?」
そしたら翻訳の手間が省けるし……。
だが、メテアは首を横に振った。
「これ、一個作るのにすごい時間が掛かるらしーのよ」
うーん。まぁそういうことなら……。
「もう……いいかね?」
おっと、おじさん方を随分と待たせてしまったようだ。
メテア話が終ったらことを伝え、話は『本題』に進んだ。
「単刀直入に言おう。君に未来を変えて貰いたい」
「……へ?」
思わず間抜けな声が出てしまった。
「まず、こちらの情勢から説明しよう」
……どうやらこの人達の故郷シテル星は、地球が開発した『魔法』という力で滅んでしまう予定らしい。予定、というのもにわかに信じられないが、この人達は未来から来た、その時の生き残りだと言う。でもってその魔法の開発者が……
「……お、俺!?」
「……はい」
マジかよ、俺そんな大悪党みたいなやつになんのかよ。
ってか魔法って何!?
やっぱりあれだよな!? ファンタジーのあれだよな!?
「……それともう一つ、奴らを食い止めて頂きたい」
「やつら……?」
「はい……元々我が星からは破滅を防ぐべく、二隻の船がこの地球に向かいました。ですが旅の途中で、地球を滅ぼしてしまおうと考える侵略派と、話し合いで解決しようとする共存派で意見が分かれてしまったのです」
「……で、こっちが共存派ってわけですか?」
「はい、話が早くて助かります」
でもなぜ俺にそんな話を? 俺はなんもできないぞ? 魔法だって使えないし。
その旨を伝えるとじいちゃんは首を振り……
「私達も、無駄な犠牲は出したくありません。なので、あなたが我々の故郷を攻撃しないと、やつらのまえで誓って欲しいのです」
それだけ? それだけで地球が救われるならお安いご用だが……
「それって、危険なんじゃ……?」
地球を滅ぼそうとしているやつらのまえで……なんて。
それに今だって命を狙われている可能性だってある。
あれ? 俺、今の立場、結構やばくね!?
ちょいはんぱやな。
まあゆるしてーや。
(`ω´*)