p、プリン!?
尋問……なのか!?
この薄暗い空間に目が慣れてくると、おじさん方のシルエットがぼんやりと見えてくるようになった。
真ん中のじっちゃんが「ゼス」と言うと、最後に部屋に入ってきた人物が「ゼス」と繰り返した。
声を聞くにその人物は恐らく女性だろう。更に声から若い印象も受けた。
その女は、言葉を返すなり俺の口元に何かを寄せた。
ん? なんだこれ?
スプーンに固形の何かが載っている様だった。
!! まさか!! 自白剤か!!
俺が食べるのを拒んでいるのを見かねてか、また真ん中のじっちゃんが何かを言い出した。
「ユーノ……ジェゥクウェケン」
やっぱり何言ってるのかはさっぱりだったが……ユーノってどっかで聞いたことのあるような?
その言葉を聞いてメテアと名乗っていた少女は、ゼスと応えた後俺の方を向き、
「食べても……大ジョブ」
と言い出した。
「……」
いやいやいやいや。
それは俺をだましに来てんのか!?
「毒とか……ないよ?」
尚更あやしいわ!!!
でも待てよ? ここで毒とか出しても奴らは「得」出来ないんじゃないか?
まてまて。自白剤だったらどうする? あれって打つと廃人になっちゃったりするんじゃないっけ?
「あ、自白剤とかでも……ないよ?」
だからあんたが言っても、あやしさが増すだけだっつの!!
あ! そうだ……!
ひとつ、思いついたぞ。
「じゃあ、あんたが食えよ……そしたら俺も食う」
もう俺の目はこの部屋に完全に慣れて、おじさん方のシルエットがはっきりと見えるまでになっていた。
当然、真横に居るふたりは、目鼻まで見えている。
で、気づいたんだが……後から入ってきた女の片手にはスプーン、もう片方にはお皿が載っていてその上に更に四角いものが載っていた。
その四角いものは、一辺がえぐれていて、今俺の目の前にあるものがちょうど収まりそうだった。
つまり……これは豆腐か何かか?
流石に色までは識別出来ないので何とも言えないが、今俺の頭の中は『なぜ豆腐?』で埋まっていた。
あんたが食え。 そう言うとメテアはあっさりとそれを受け入れた。
「え……? わかっ……た」
次によく分からない言葉をペラペラと喋っていたが、それを気にスプーンがメテアの口に運ばれたので、まぁ私に頂戴的な感じだろう。
メテアはそれを口にして、たちまち幸せそうに「ベ~ホ~」と――何を言ってるのかわからんが――顔を緩ませた。
そ、そんな美味しそうに食べられたら……と、少し食べたくなってしまった。
そんな茶番がおわると、今度は俺の方にスプーンがやってきた。
「「……」」
クソ! 九人からの視線が……。
「わ、わかったよ……食えばいいんだろ、食えば!!」
もうやけくそだ。
あいつが食ってるから、毒とかはないだろうし。
俺は目の前の豆腐(仮)に、勢いよくかぶりついた。
その瞬間、俺の脳に電撃が走った。
待てよ! このスプーン、メテアも使っていたよな!? ってことは……間接チッス!?
あ、甘い! 豆腐が甘く感じるぜ!
こ、これが女の子の……味! (変態発言)
「もぐもぐもぐ……」
って
「プリンじゃねえかぁぁ!!!」
そりゃ甘いわけだは!!
なんか勢い余って変態発言しちまったじゃねえか!!
前言撤回! 前言撤回! (言ってはねえけどな!)
いやだって、あんな可愛い子の……ねぇ?
俺だって男ですもの。
仕方がなかったんだ。
そうだ! 俺は悪くない! 悪いのは俺を男の子に生んだお母さんだ! (錯乱)
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さっきは見苦しいところを見せてしまったな。
でもなんで俺にプリンなんて食わせたんだ?
うちの主人公軽率すぎやしないか?