はじめまして。
前の「」が彼女の言っている言葉。
あとの( )が主人公が聞いている言葉となっております。
ご了承ください。ヽ(*´∀`)ノ
はあ……
本当にやることたくさんあるのに……
でも、言葉が通じないというのは全然想定の範囲内だ。――むしろ通じたほうが怖い。
私は初めて聞く言語に、内心すごく動揺していたが表向きでは平然を取り繕った。
まあ、一様話しかけてみるかな。
「あなた、名前は?」(ヌロア、トト?)
っと言ったのだが、当然伝わるはずもなく彼を困らせてしまったみたいだ。
意思の疎通は難しいかなあ。
そんなことを思っている間にも彼はじっとこちらを見つめていた。
それから静かに夜風が吹き、彼の顔にも動揺が現れ始めた。
「……」
「名前は?」(トト?)
何を言おうか迷った挙句、同じ質問をしてしまう。
やはり自分も動揺していたのか、声が思いのほか大きくなってしまった。
彼は見るからに焦り出し、言葉を紡いだ。――でもその光景がどこか可愛かったり……
「ハ、ハロー? ハウアーユー?」
今度は私のほうが固まる番だった。
「――!!」
だって……い、今こいつ……『ハロー』って……
言葉が通じないってことはわかってるけど……けど……
見る見るうちに自分の顔が紅潮していくのが分かった。
そんなこと言われたら焦っちゃうよ。
それと同時に怒りもふつふつと湧いてくる。――思い返すと、相当理不尽だよね……
いやいや、今はダメだ。平常心、平常心……
そうメテア――私の親友であり、優秀な補佐役だ。――にも言われたじゃない……
「くれぐれも向こうの人達に手、出さないようにね」って……
その時のメテアの声、表情――やんちゃな妹を心配する姉のような――が鮮明に蘇る。
私は必死に感情を抑えようとするが……
「○、○○○!? 変態! 変態は、死すべし!!!」(ハ、ハロー!? アガヨ! アガヨ、ネーヴ!!!)
そんなことは出来なかった……いや、短期って自覚はあるけどさ……
奴が何を言ったか。それは言いたくないが、私の頬を真っ赤にするようなことを、こいつは言ったのだ。
こいつはやめておこう、これ以上何かされると手が出ちゃいそう……
だが、こんな状況――周りに人気がなく、見られる心配もない、私にとって都合のいい状況。――を逃してしまうのはもったいない。
私は――目をしっかりと合わせたまま――退くか退かないか、脳内会議を始めた。
「……」
……! が、やがて一つの結論にたどり着いた。
うん。サンプル持って帰ろう。
与えられた数々の任務の中に、『血液採取』というのがあったっけ。これならちょうど都合もいいよね。
そう結論づけて、さっそく実行に移そうとし、間合いをじりじりと詰める。
それに合わせ彼も後退して行ったが、生憎彼の後ろはもうフェンスだ。
彼の背中がフェンスと接触して、静かなグラウンドにカシャン、という音だけが響いた。
まず私は、まだサール――私が乗ってきた、黒い球体だ。――の中にある注射器を、腰元のポーチに『呼び寄せた』。
「……来て……」(……アザーニュ……)
私が小さく声を発すると、腰元のあたりに異物感が芽生えた。
注射器を『呼んだ』私は続けて、自分のスキャーヴ――一言で言うと、真っ黒な槍だ。――も手元に呼び寄せる。
こちらは、注射器のように何もないところから現れるのではなく、サールから空中を飛行してここまで来るのだが……
そして先からずっと視線を外さないでいる人物を軽く睨む。
すると彼は私の異様な雰囲気を察したのか、顔がさらに強張る。
だが、そこへ割り込んでくるものがいた。
そろそろ一気に投稿したいなあ。