月の上
最近暑くなってきましたね~
……
…………
………………
「……」
ここはどこだろうか……
意識が……すごくぼんやりしている……
……あたりは一面真っ暗だ……
体はなんだか浮いているようで……そしてあったかい……まるで何かでくるまれているように……
それと……ひどく寂しい……
「……ッ」
「誰か」と声を出そうとするが……声が出ない……
俺……死んだのか……?
実感がわかない……もうどうでもいいかな、とさえ思えてくる……
俺はそのふわふわしている感覚の中で体育座りの姿勢をとった……
誰もいない……何も聞こえない……
視界は永遠に続いていそうな闇が広がっていた……
……それからどれくらい時間が経ったのだろう……いや案外時は長くすぎていないかもしれない……
俺にはそれもわからない……
だが、視界の奥に微かな光が映ったのは確かだ……
……やがてその光はだんだんと濃くなり……俺の視界を埋めていった……
そして俺は瞼を開いた。
眩しい。俺は少しの間、部屋の明かりで目がくらむ。
やっと目が落ち着くと視界には黒い天井が映った。
どうやら俺は今、仰向けで寝ているようだ。
「知らない天井だ……」
じゃなくて、確かに知らないけれども。
俺はしばらくの間、その天井を見つめていたが……
ここ……どこだ?
なんだか体がすごく疲れている。
俺はひとまず体を起こした。
部屋には窓はなく、天井も壁も床も黒一色だった。
そして天井では蛍光灯が光っていた。
六畳くらいの空間にベットが一つ。
「……」
なんか……独房ってこんなかんじなのかな、と思った。
で、だ。
ここどこ!?
俺はこんな状況だが、なぜだか焦ったりはしなっかった。
いたって冷静で、感情の上下もそんなにないようだ。
なんでだろう……こういうことに慣れてしまったのだろうか?
だとしたら……俺も末期か……
こんなことが思えるくらいには冷静ってことだろう。
前向き大事。
「……はぁ」
俺はため息を一つついてから、記憶をたどることにした。
確かぁ、家に帰ったらあいつがいて……
うん、ここまでは鮮明に覚えている。んで、逃げてぇ……
俺はゆっくりと丁寧に、一つ一つ、記憶を整理しながら思い出していく。
……河川敷で寝転んでぇ……
「……!!」
そうだ! 腹に槍が突き刺さって……
俺は慌てて自分の腹を出した。
……??
どうなってんだ? 確かに腹に……
そこには傷一つなく、少し割れ目――自分でも腹筋綺麗だと思う。――の入った俺の腹があった。
それから自分の腹にペタペタと触ってみるが……
痛くも痒くもない。
……ホント、わけわかめ。
頭がついてかねぇ。
「……はぁ」
ついため息をついてしまう。
……あれ、その後どうなったんだっけ?
俺はさっきの件をあっさり放棄して本題に戻る。――頭の切り替え、早いだろぉ (キラッ☆
……ん?
本題に戻ったはいいが、その先が全く思いだせない。
え? マジで死んだやつ?
いやいやいやいや!!!
ネガティブに考えるのはやめよう。
俺は生きてる! いきてるぞぉ!
そう言って自分を励まし、気を取り直す。
だが結局ここがどこかは、わからないのだが……
とりあえず、この部屋――ちっさいが――を調べてみよう。と思い、俺はベットから降りる。
「――よっと」
そのまま伸びをすると、背骨がコキコキっとこ気味のいい音を出した。
うーむ。なんもねえ。
やはりこの部屋にはベットしかないようだ。
……とうとう何もやることがなくなり向かいの壁まで歩み、こんこんっとノックしてみる。
おっと、この先に空間があるようだ。
子供の頃は、そこらじゅうの壁をこんこんしたもんすよ。
それが、へんなところで役に立って? しまった。
壁は鉄か何かそのへんは分からないが、どうやら金属のようだった。
それから俺は、みぎの手のひらを壁につけてみる。
すると金属特有のひんやり感が伝わってきて、次には……
スーー。
……次にはそれが右にスライドしたような、って。
「……」
開いたぁぁぁぁぁぁぁ!!!
てかここ扉だったのか。
まあ、扉なかったら俺はどうやって部屋に入ったってはなしになるよなぁ……
だが、喜んでいられるのも束の間だった。
「……ファッ!?」
だって目の前窓だったから。
今回は少し多めに書かせてもらいました。
これからもっと暑くなるんですよね……ホント勘弁です。
来週もよろしくお願いします。