食堂
久しぶりの更新です!
祝、第7話目><
パーキングエリアまで引き返した俺たちは、昼食をとった。
車で敷地内に入った当初から感じていたが、人気の少ない場所で駐車場はガラガラ状態。駐車券を受け取り、適当な場所へこれまた自動運転でスペースを確保した。
『ほんと寂れてるわね〜』秋田小町こと水商売をしていた時の、仮名あやちゃんは脚組みをして座席に着いた。
施設完備抜群のフロアでは微かに調理をする音と静かなジャズ系の曲が流れていた。
しばらくすると、割烹着を着た年配のおばさんが現れて、俺たちのテーブルにとんかつ定食を運んで来た。
『本日はご来店ありがとうございます。こんな若いお客さんは久しぶりですよ、どうぞゆっくりしていって下さいね』
愛想の良い目尻に皺のできる顔に山田五月はドキッとした。
去年亡くなった母親の笑みと重なったのだ。
額に手をあてて『どうも‥‥』と軽く会釈する。
俺はそんな自分を二人に悟られやしないかと目を泳がせたが、二人とも箸を動かし淡々としていた。
現代では水はほとんど汚染物質と化してしまい、天候もそれに伴い有害になりつつある。
地球温暖化や工業化を制する政策も練られてはいたが、今となっては歯止めの利かない状況である。
水は貴重とされ、ろ過装置が今生きる俺たちにとって必要不可欠なのだ。
家畜も減りつつある中で、食肉の価格も上昇し、より生きづらい社会になった。
そんなことをぼんやりと考えていると
優人が『俺、ちょっと吸ってくるわ』と言い、席を立った。
『いってらっしゃーい』向かい席に座っていた秋田さんは手を小さく振った。
必然的に俺は彼女と二人きりになるのだがなんとなく気まずい‥‥。
彼女はひたすら携帯(最新の電子端末機器)をいじっていたが、俺は頬杖をついて優人が戻ってくるのを待った‥‥。
『ねえ、やまだん』
うたた寝しそうな時、ふいに彼女が話しかけて来た。
『ん‥‥なんですか?秋田さん』いまにもアクビが出そうな時だった。
『らぎらぎ、遅くない?』
俺は寝起きの時かのように食堂の羅針盤に目をやった。
『らぎらぎがタバコ吸いに行ってから1時間近く経ってる‥‥。誰かと雑談でもしてるのかな〜』
首を傾げた彼女に俺は言った。
『確かに言われてみればそうですね。そろそろここを出なくちゃなんないし、あいつ何してんだか‥‥俺、見てくるよ。ここで待ってて下さい。』
『私も行く。』
彼女が着いて来たがる理由もなんとなく分かる気がしたから、そこは深く考えず了承した。
支払いを済まして、彼女と共に喫煙所へ向かった。
会計の時もあのおばさんが出て来て、笑顔でお礼を言われた。
きっとこの食堂の看板の方なのだろう。
お土産物産展を通過して、お手洗いマークと喫煙マークの標識を確認し目的地に着いた。
その間、店員以外の客とは誰一人すれ違う事もなければ、見かけることもなかった。
つづく
うわー(汗)これからどうなるやらーて感じです。
お付き合い頂けた方、ありがとうございます。