引き返し
第6話目突入です!
『ここが目的地?』
車は停車した。
辺りは霧に包まれていてよく見えない。
『ねえ、優ちゃん起きてよ』
助手席から後部座席に身を乗り出し秋田さんは優人の膝をさすった。
『ふがっ』優人は驚いたのか飛び上がり、頭を車の天井にぶつけた。
ーゴン
『って〜!!なにすんだよあやちゃんっ?!何?何なの?着いたの?』
偉く困惑しているようだ。
『んも〜優ちゃん寝ぼけすぎ〜ていうか今めっちゃ良い音したよ?本日二度目の”ふが”もいただきました〜クスクス』
あ〜こいつら仕事中にも関わらず情けない。俺は冷ややかにその様子を運転席で見ていた。
『ていうか着いたんなら降りるでしょ?私お尻いた〜い』
『じゃあ俺が撫でてあげよっか?』
『え〜?ほんとに〜?』
ーブッ
さすがに吹いた。
『なにお前等戯れてんだっ今仕事中だろ?!一応車内には監視カメラ付いてるって先輩言ってただろ?!』
『おい、五月お前マジでそんなん信じてんの?あんなの俺たちが真面目にやるようにするための文句に決まってんじゃん?』
『そーよ、わざわざそんなことにお金懸けないでしょウチの会社は?だって研修なのに指導員を配置しないくらい適当なんだよ〜?私あんま詳しくないけどそのくらいなら分かるもん』
『うそ‥‥そんな馬鹿な‥‥』俺は自分でも顔が蒼白になっているのが分かった。
『だから俺等ある意味自由だよな?な?あやちゃん?』
『そういうこと〜。あ〜でも、GPSは本当だと思うから気をつけた方が良いかも。誰かに遠隔操作でもさせられれば良いのに〜』
こいつら完全に惰性で生きてやがる。
『とにかく、こん中で一番リーダー性のある奴は俺だ。俺に従え嫌でも従え。分かったか?』
俺は憤る気さえ起きず、とにかく任務を遂行しなければならない一心だった。
『おう、頼むぞ五月』『やまだんファイトー、応援してる♥』
ああ‥‥なんでこんなことになっちまうんだか‥‥。
ーピロリン♪
三人同時に反応した。
例の電子ノートを開くと活動報告というのが表示されていた。
『そうか、目的地に着いたことを報告しなきゃならないんだな‥‥えーと会社を出たのが9時くらいで今は‥‥』
『13時だな。』腕時計に目をやったのは優人だ。
『うっそ〜あれから4時間も経ってるの〜?!私よくトイレ我慢できてたわ〜』
『そんなことより昼飯は?あとできたら煙草吸いたい』優人が問う。
『近くのパーキングエリアに寄って良いってさ』
『返事早っ』再び三人で同調した。
『今はコンピューターが主流だからな‥‥実際問題この報告を先輩や上司が目を通しているとは思えないな』
『私達、そういう時代に産まれちゃったのね〜』
『よし、まずはナビで設定して‥‥』
とりあえず、昼飯のために俺たちはパーキングエリアに引き返すことになった。
無論、自動運転で。
まさかの昼飯のために引き返す展開に‥‥。
如月優人と秋田小町の戯れを前にどうにかしないとと思う主人公ー山田五月 長男気質で獅子座設定なのでリーダー性を発揮できるかな?というところです。
読んで下さった方ありがとうございます!またぼちぼち更新していけたらと思います。