面接会
第2話目です!
団地のよしみであり、親友の如月優人と俺、山田五月はとりあえずその廃墟探索とやらの仕事に応募することにした。
まず面接へと進む。
どうやら集団面接のようだ。自分達を含めて5人くらい集まった。
一階がコンビニのビルの4階のオフィスでクールビズ姿の会社員たちがデスクに向かいパソコンをいじっている。
『えーでは、こちらの部屋へご案内します』4、50代の男性課長が案内したのはスクリーンのあるこの日のためにセットされたという感じを受ける広間だった。
椅子は10席くらいで二列になっていたが、俺と優人は前の席に堂々と腰を降ろした。後の三人もそれに着いて行くかのように並んで座った。
説明会での要点をざっと挙げると。
・廃墟探索を希望されるお客様へのサービス及び提供を目的とする事業。
・ある程度パソコンができるのが望ましい。研修期間は半年。当社では安全管理を徹底している。又、危険建造物の早期発見・対策を地域と連携して行っている。
・お客様からのアンケート・ご要望を積極的に取り入れより良いサービスの充実を日々計っている。
・社員の労働環境・待遇の見直しも定期的に行い社員一人一人の技術や能力の発揮をサポートし‥‥以下略
結果は2週間後だそうだ。
『面接なんて久しぶりだったから緊張したな』帰りに俺は優人にそう言った。
『そうか?お前結構質問してたじゃん』優人は少し気怠げに答えた。
『そうかな?ん?‥‥疲れたのか?』
『ああ‥‥帰って酒飲みたい』
『お前相変わらずだなw』
『せっかく都会に出てきたし、なんか食って帰ろうぜ』
そう提案し、面接帰りに寄り道をした。
スーツに身を包んだ青年二人は赤提灯のぶら下がった焼き鳥の匂いのする店の戸を開けた。
中に煙が漂っていたが、それはタバコの煙だった。
『くさっ』俺はタバコが嫌いだ。
『なんだお前タバコ嫌いだった?俺なんか1日5本くらい吸ってるぞ』
優人がタバコを吸う奴とは今の今まで全く知らなかった。
『え?マジかよ吸うの?』驚いて店先に立ち尽くしていると、橙色の照明の方から声がした。
『いらっしゃ〜い、お客さん入んないの〜?』
ドスのきいたような‥‥でも甘ったるい声の持ち主は店員だ。
『ん?』その店員を目にした時、瞬時に俺と優人は顔を合わせしかめた。
『やあだ〜もうっほらお兄さん達入って入って〜特別にちくわサービスしてあげるから♥』
めちゃくちゃミニのピンクのラメの入ったスカートから伸びる脚は女性の脚とは言い難いくらい黒っぽくゴツゴツしている。
白目が見えない程のアイメイクにピンクのチーク。肌の色は黒い。
ぺろりと舌で唇を舐めたのは紛れもなく男だった。
『来るとこ間違えたか?』
『ああ、同感だ』
ツバを飲む音と同時に店を出ようとした、その時だった‥‥。
読んで下さった方、ありがとうございます。
細かい仕事設定‥‥フィクションだからま、いっかで済ませています(笑)
さて終盤にはまさかのオカマが登場です。これからどうなることやらって感じです。