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サバイバー   作者: denali
2/6

意識が朦朧としている中、誰かが体をゆすりながら声をかけてくる。

「まだ眠るな!」「意識を保て!」


とにかくゆっくり眠らせてくれ、静かにしてくれと怒っていた。


誰かが聞いてくる。

恐らく救急隊員の方だろう。

自分の知り合いが同乗しているとは思えないからだ。

「どこか痛いですか?」「苦しいですか?」とか。


私は水を飲ませてくれと頼んだが、救急車にそういう物は積んでいないと言われたと思う。


仕事の昼休み以降、夕方まで約5時間ほど水分を摂った記憶が無いので喉が渇くのも当然だ。


思えば、車に乗り込んだら、帰り道にコンビニがあったら寄って何か飲み物を購入しようと考えていた。


それが今は、サイレンを鳴らして走っている救急車の中。


そして、聞こえてきた言葉

「血圧が高すぎて測れない、足で測ってみるので少しズボン上げますよ」


低血圧と診断されたことがあるのに?


返事ができたかは覚えていない。


「これは危ない、200㎜Hg超えてるぞ。」「もう少し急いで」


ところどころ覚えている言葉は、自分の血圧が高くなっていて危険だということ。


倒れ込んだ時に一瞬脳梗塞かと思った。


自分の祖父が脳梗塞だったからだ。


しかし、どうやら違うみたいだ。一体私の体には何が起きているのだろうか?


自分の体の左側の感覚がどんどん無くなっていた。隊員の方が叩くが触られているような感じは分かるが感覚は無い。


どれくらいの強さで叩かれたり揺すられているのかも分からない。

左半身の関節がプレートやボルトで固定されていくみたいだ。


また激しい頭痛がきた。焼けつくような痛み。


もう耐えられないというところで、記憶は無くなっていた。


眠ったのか・・・。

意識を失ったのか・・・。


夢?

夢なら良かったが・・・。


夢を見ている?考え事をしている?

そういえば、今日は歯科に予約を入れていたのだった。年末から京都へ旅行に行く予定だった。

両方ともキャンセルしなければならない。

明日で、今年の仕事も終わる。今年も頑張ったなぁ。


痛みをごまかそうとして、気を紛らわせようとしているのか?


遥か遠くの方に光が見える。

手を伸ばしても届きそうもない。

光の近くまで、走ってみた。僅かな時間で着いた。


2つの光があった。

近寄ってみると、異なる2つの光だった。

泥水のように濁った黒い光と、輝いている綺麗な白い光があった。


黒い光の方に寄って行くと、痛みは落ち着いていくようだ。

白い光の方に寄って行くと、痛みは和らぐどころか痛いままだった。

いや、むしろ白い光の方は痛みが強くなっていくような感じがした。


ただ、濁った光は明らかに嫌な感じがして不安な気持ちになった。

綺麗な光は、落ち着くような安心があった。

綺麗な光は痛みがどんどん強くなっていくが安心感があったので、そちらの方に近寄って行った。

包まれるような温かさがあった。

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