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骨まで愛して!  作者: 木山知
1章
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4話 夜道には注意を

ようやく骸骨ヒロインが登場します。

 外はもう日が暮れて闇に包まれていた。さすが田舎だけあって夜道は暗い。

 俺は歩いて十五分のところにあるスーパーへとマヨネーズを買いに行く。

 いつも歩き慣れている道は夜独特の静けさが支配していた。田舎だから都会と違って夜に出歩く人は少ないから当然かもしれない。

 スーパーについた俺はマヨネーズを買ってさっさと家に帰ろうとする。

 しかし俺はその帰り道に信じられないものを目撃した。

 俺は一瞬自分の目を疑った。


「……あ、ありえない」


 その光景は俺にはあまりにも信じがたいものだった。


「えっ? これからわたしの家に来るの? どうしよっかなぁ」


 信じられないことに俺の担任である青葉先生を見かけてしまった。

 しかもシングルに定評のあるあの青葉先生が一人ではなく、そばに人影らしきものと一緒に歩いていた。二人の距離はキスができるんじゃないかっていうぐらい近い。


「そんなこと言ってやらしいことでも考えてるんじゃないの」


 そんなバカな。

 天変地異の前触れか!?

 それとも幻覚でも見ているのか。

 俺からしてみれば歩く骸骨を見るよりも信じられない光景だ。

 だが今日は合コンがあったみたいだし青葉先生が男の人と歩いていてもおかしくはない。

 ここは教え子として祝福してあげるべきか。

 俺は失礼だと思ったが、青葉先生と一緒にいる危篤な相手がどんな人なのか目を凝らして見てみる。

 身長は一七〇センチぐらいで少し小太りの体格。白い髪に、白い髭をたくわえ、白いスーツを着た初老の紳士。

 というか、ケンタッキーでおなじみのカー○ルサンダースだ。


「…………」


 ちょっと疲れてるのか俺?

 目をこすってもう一度見てみる。


 ……。

 …………。

 ………………。


 何度も確認するがあれはカーネル○ンダースだった。

 マネキン相手に何やってるのあの人。そもそもあのマネキンって盗難防止としてボルトで固定されてるはずなんだけどな。


「ちょっと、さっきから黙ってないで何かいいなさいよ! あんたもあいつらみたいにわたしが三十路前だからって売れ残りとか言ってバカにするの」


 マネキン相手に急にマジギレする青葉先生。

 そういえば夜遅いといってもまだ八時過ぎだ。合コンにいったにしては帰りが異様に早いような気がする。

 何かあったのだろうか? あまり想像したくないな。


 そして青葉先生は持っていたコンビニの袋から缶ビールを取り出し、一気に飲み干して缶を握りつぶすと、「バカにすんじゃないわよ」と叫んでカーネルサン○ースに投げつける。しかし投げた空き缶はカーネルサンダー○に当たるが、その空き缶は青葉先生の顔面に跳ね返ってきた。


「やりやがったなこのクソジジイ!」


 青葉先生は顔を押さえながら怒鳴り散らす。

 俺はその光景をそれ以上見ていられず、青葉先生に見つからないように遠回りをしてその場をあとにした。


 きっといつか青葉先生にも春が来ますように。


 と願いを込めながら遠回りした道にある公園を歩いていると、急に空気が冷え込んだ気がした。


「?」


 一瞬、青葉先生が近くにいるかと思ったが、辺りを見回しても人影はない。


「気のせいか」


 そう思って歩き出すと、今度はううううと言う呻き声が聞こえてきた。

 何だ? と思って周囲を見てもやっぱり人影はない。

 青葉先生の残留思念が俺に幻聴を聴かせているのか? と、つい非科学的なことを考えてしまう。

 そんなことを考えていると、ガサガサという音が頭の上から聞こえてきた。


「なんだ?」


 俺は気になって上を見上げる。


 すると、上から白い何かが俺目掛けて落ちてきた。


 俺はとっさに一歩後ろに下がってそれをかわす。


 白いそれはそのまま地面に直撃すると「ふぎゃ」というみっともない声を出してバラバラになる。

 落ちてきたのは骨だった。それも人の骨。骸骨だ。

 骸骨は落ちてきた衝撃で手や足の骨を周囲に四散させた。

 ふぎゃ? この骨が喋ったのか。

 ……なわけないか。声帯がないのに骨が喋れるわけがない。


「とりあえず警察に連絡するか」


 何で空から骨が落ちてきたかわからないが慌てることはない。空から女の子が落ちてこようが、骨が落ちてこようが警察にまかせておけば問題ない。日本の警察は優秀なのだから。

 警察の事情聴取にどう答えたものか考えながら俺は携帯を取り出す。

 しかし警察に電話をかけれなかった。

 実は結構動揺していて、携帯ではなくさっき買ったマヨネーズを取り出していたのも原因だが、何より――





 骨が動き出したからだ。





 四散した骨は、カタカタと動き出し、まるで骨の一つ一つが意思を持っているかのように一ヶ所に集まりだした。


「う、嘘だろ」


 そんな俺の驚きを無視して骨はみるみる人の形を形成していった。

 幻覚か?

 鈴が変なことを言ったせいで幻覚を見ているんだ。そうだ、そうに決まっている。

 幻覚である骨は人の形になると、ズカズカと俺に向かって歩いてきた。そして指先を俺に向ける


「ちょっと! 何で人が落ちてきてよけるのよ。普通はキャッチするでしょ!」

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