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骨まで愛して!  作者: 木山知
4章
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4話 死神を探して…

「兄ちゃん、どうしよう!」


 仕方なくお金を払って急いで家に帰ってくると、鈴が慌てた様子でやってきた。


「どうしたんだ?」


「ミヨさんが、ミヨさんが……」


「落ちつけ鈴。黄泉路がどうしたんだ?」


 俺にそう言われて鈴は軽く深呼吸して気持ちを落ち着かせる。


「ミヨさんがいなくなっちゃったの!」


「いなくなったってどういうことだよ?」


「それが、鈴が帰ってきたときにはミヨさんはいなくて、お母さんが寝てる時に出ていったみたいなの。それで兄ちゃんの部屋にこの書き置きがあって」


 俺はその書き置きを鈴から受け取る。

 書き置きには『探さないで』という一文だけが書かれていた。


「ミヨさん他に行くあてもないのにうちを出てどうするつもりなんだろ」


「あのバカ」


 思わず書き置きを握りつぶす。


「どうしよう兄ちゃん」


「探すしかないだろ」


 このまま放っておいたら黄泉路の魂が消滅して死んでしまう。なんとか探し出してあいつを説得しないといけない。


「鈴も手伝うよ」


「いや、お前は家で待ってろ。もしかしたらあいつが家に帰ってくるかもしれないし」


「わ、わかった」


 俺はすぐさま黄泉路を探しに行く。

 あいつには鈴のことで世話になった借りがある。あいつのおかげで俺たちは本当の兄妹に近付くことができた。その借りを返さないで死んでもらったら困る。


 あいつがいそうなところを手当たり次第探した。

 だけど夜遅くまで黄泉路を探したけど、結局見つけることはできなかった。


 翌日、俺は学校を初めてサボった。今まで学校をサボったことなんてなかったのにまさかあいつのために学校をサボるはめになるとは。

 俺は必死になって探した。

 とにかく走った。

 食事もとらず一心不乱に。がむしゃらに。


 けど黄泉路を見つけることはできなかった。

 今日中にあいつを元の身体に戻さないといけないのに時間だけが刻一刻と過ぎていくだけだった。


「はぁはぁはぁ」


 俺は疲れてみっともなく道端に倒れこんだ。周囲を歩く人の目なんて気にする余裕もなかった。


「くそっ!」


 自分が情けない。

 あいつが元の身体に戻らないと言ったときにちゃんと理由を聞いてやればよかった。あいつだって悩んでいたかもしれないのに。

 なんだかんだ言って俺は自分から行動することを避けていた。他人にかまって成績を下げて特待生でいられなくなるのを恐れていたんだ。

 黄泉路のやつは自分の身体が骨になって大変なのに俺のことを気遣ってくれたっていうのに……。

 俺は全身に力を込めて立ち上がると走り出す。

 あいつを助けるために。


「うぐぐぐぐ」


 黄泉路を探して走り回っていると、路上に転がっている太った物体がうめき声をあげていた。太った物体は全身青タイツにヒーローマントを羽織っていた。どっかで見た子のあるやつだ。たしか横島だかというやつだ。


 チラリと目が合ったが、あいつにかまってる暇はない。


「くっ、我がここまで重症を負うとは……」


 太った物体を無視して通り過ぎようとすると、あいつは俺に聞こえるように言ってきた。俺は意に介さずそのまま通り過ぎようとするが、重傷を負ったとは思えない機敏な動きで俺の足にしがみ付いてきた。


「お、お主は我が盟友ではないか」


 なんだよ盟友って。こいつとはろくに話なんかしたことないはずだぞ。


「こんなところで会うなんて偶然だな。いや、もしやこれは星の巡り合わせ、運命! そう、ディスティニーか」


 相変わらずめんどくさそうなやつだ。とりあえず足から離れて欲しい。


「お主もあの死神を捕まえにきたのだろう。だがしかしやつは手強いぞ。我も先ほどやつに返り討ちにあってしまったぐらいだ。踵落としからの回し蹴りとはさすがの我のかわせなかったわ。我が身に封印されし力を使えば倒せたかもしれぬが、この力はまだ制御ができぬからな、周囲への被害が計り知れぬ」


 何を言ってるのかさっぱりわからない。なんだよ死神って。……死神?


「おい、その死神ってのは黒いローブを着た骸骨のことか?」


「うぬ。その通りだ。やつこそこの町を冥府に変えようとする悪の権化――」


「その死神はどこにいる!」


 横島の話を途中で切って問いただす。


「ぬおっ! や、奴ならこの道を真っ直ぐいったところにある山の祠に向かっているみたいだったぞ」


「山の祠? あの山に祠なんてあったのか?」


「昔、町の危機を救ってくれた者に感謝の意味を込めて建てただか建てなかっただか」


「どっちだよ」


「最近では願い事を叶えてくれるとか噂があるようだが」


 初耳だ。

 だがいつまでもこいつの相手をしてる場合じゃない。俺は足にすり寄る横島を振りほどいて山の祠へと向かう。


 その際に横島は「まさか彼奴は我の仇を討ちに行くつもりか。き、危険だ。だが、持つべきものは友か」とか感慨深げにほざいていたのはきっと気のせいだろう。


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