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兵器襲来

五話目!

《新兵器『生物兵器クリーチャー』が、今回の戦争で実戦投入されることが公表しました》

 ニュースキャスターが坦々と話す顔の隣に戦地の写真が映される。



 実戦、そういえば今、戦争してたな。

 まず最初に浮かんだのはそれだった。たった今、現在進行形で戦争が行われていることなんて忘れるぐらい平和な日本。実際本土では一回も戦闘が行われていない。



《『生物兵器クリーチャー』はテクノニクス㈱が開発した『生態理論に基づく生物創造技術』を軍用に転用したもので今現在日本のみが所有する兵器となっており──》

 映像は移り変わり、クリーチャーとテクノニクスの社長豊島航平とよしまこうへいの顔写真が映る。



 クリーチャー。あの時はまだかっこいい、とか強そう。とかしか思わなかった。大人だって強い兵器だと言って誇って、頼りにしていた。



 だがよくよく考えてみれば、というか実感するとクリーチャーは『味方としては頼もしくて、敵に回せば脅威』なものだった。



***



「放送してから4分25秒。全員到着、か。やるべき事がちゃんと出来る子ばかりで私は嬉しいぞ」



「ゼハー、ゼハー、ゼハー、ゼハー……」

 俺らクリーチャー駆逐部隊(総勢52名)の前で、腕を組んで凛々しく笑っているのは一ノ瀬凛いちのせりん。俺と同い年の17歳でこの部隊のリーダーだ。



「ついでに橋本こいつは遅そうだったから先に始末した」



「理不尽だぁぁぁぁ!!」

 属性はドS 。よく和也は狙われる。



「さあ時間がない。急いでこいつを縛って放り投げる用意を。こいつで時間稼ぎするぞ」



「え? マジでするの? あの放送、冗談じゃなかったの!?」



「はは、勿論じゃないか」



「ハハハ、だよねえ。ブラックジョークだよ──」



「八割方本気だ」



「ほとんど本気だぁ!!」



「よし。任せろ」



「穂高てめえやる気か!!」



「はは、勿論じゃないか」



「そこは勿論って言わないでくれよ……」

 涙目の和也はほっぽいて、俺は椎名の方へ向かう。



「よー。椎名、バッテリー充電すんだか?」



「おう済んだで。ほれ」

 特性充電器に刺さっていた日本刀を投げ渡される。

 これは炎熱刀えんねつとうと呼ばれる兵器だ。

 充電した電力で刀に熱を帯びさせ、かつ微細動させることで、斬る。というより溶かしながら削る刀だ。



 それを二本持って調子を確認するように振り回した後、電源をつける。熱を帯びて微細動が始まる。

「よし。調子はいいな」



「ウチの微調整のおかげやで?」



「あーはいはい。あんがとな」

 適当に手を振りながら見張り台をあがる。後ろでエヘヘ、と椎名がにやけてるが気にしない。可愛いとか天使とか絶対思ってない。いやマジだからな!



「おーいおっさん。外の様子は……んだよニヤニヤして」

 頭が少し薄い、名前は忘れたからおっさんでいいや。がなにやら望遠鏡を持ったままニヤニヤしている。また女子の着替えを覗いてるのか?



「おっさん。覗きしてるなら代わっだあぁぁぁぁぃぃぃぃ!!!」



「ケイ、サイテー!」



「やかましい! 男なら着替えを覗いてなんぼ目がぁぁぁぁぁぁぁ!!」



「アホケイ!! せめてウチが着替えてるときに……」



「それはない。着替えてるときは見ない」



「女としてなんか複雑や!」



「はいはいお前ら夫婦喧嘩はよそでやれ」



「誰が夫婦だ!」



「ふ……夫婦って……」



「どした椎名。顔真っ赤だぞ熱か?」



「へ!? いや、これはな、えと、ふに……にゃーー!!」

 なにやら百面相をしたと思うと奇声を上げながら椎名は走り去っていった。



「なんだあ?」



「お前鈍感とか言われたことあるか?」



「……ないな」



「じゃあ言わせて貰おう。鈍感で朴念仁が!!」



「はあ!? いやまあ今はいいや。追求は後でするとして」



「案外余裕だな」



「クリーチャーの群れの規模はどれぐらいだ?」



「んー? そうだな。でかいのが1体。小さいのが30ほどってとこだな」



「げっ、そんなにいるのか……こりゃ和也投げても時間稼ぎにならんな。一之瀬ーー! 投げるのなし! 無駄だありゃあ」



「それは残念だ」



「マジで投げる気だったのか!?」

 一之瀬及び何名かに担がれてた和也が声を上げる。



「一之瀬、あいつらまっすぐこっちに来てる。人間の味を覚えたタイプなんだろう。到着予測時間は後10分」



「了解だ。佐伯さん」

 そうだ、佐伯だ。



一之瀬は少し考えるをして。



「取りあえず防衛準備を5分で終わらせろ!」



『オォォォォォォォ!!!』と、52名全員の掛け声が響き渡った。

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