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食事


 一日とは早いもので、晩御飯の時間となりました。ちなみに使用人だったお姉さんが追い出されてしまった後はユーシアが給仕をさせられています。「私は料理は得意な方だから、大丈夫」と貴族の令嬢らしからぬことを言っていますが、本当にそのようでした。私と同い年なのにこんなに上手く出来るなんて羨ましいです。


「ルーシー、あなたのおかげでいいものを購入することができたわ嬉しい出来事もありましたし」

「へ、へぇー。それはよろしいようで」

「ええ。後で見に来てもいいわよ?」

「あ、ああ?ちょっと今日はしなければならないことがありまして……」


 私が若干顔を引き攣らせながらそう言うと、イメルアは案外簡単に引き下がってくれました。そんなに高額な買い物をしたのでしょうか?眩暈を覚えますね、まったく。それに、嬉しい出来事とは一体何なのでしょうか。気になりますね。


「ねぇ、聞いて?あたくし、城下を見回っている第二王子様を偶然見たのよ、うふふっ」

「……あら、イメルアは第一王子が好きではなかったの?」


 それまで黙って聞いていたマリレアが口を開きます。……そうだ、この世界では王様の御子は3人いたのだ。あくまでシンデレラストーリーに(なぞら)えるならば、あと少しで第一王子の為に舞踏会が開かれるはずです。その時にシンデレラことハイネは魔法使いによる魔法が……って、ちょっと待ってください。




 もしも魔法使いが、来なかったら、どうするのですか?




 この世界では、魔法使いは希少な人と崇められて多くの魔法使いは王家にて保護、というなの軟禁状態になってしまいます。そんなこのご時世に、わざわざ危険を冒してまでおばちゃんの魔法使いがやってきてくれるのですか?




 いえ、魔法使いが来ないのならば私がハイネをシンデレラにすべきなんです。それが、私がこの世界に生を受けた本当の理由というものでしょう。我ながら甘いと思いますけれど、今まで苦労してきたハイネは、このチャンスで幸運を手にすべきなです。


 よーし、ハイネをシンデレラ(の立場)にし隊、ここに誕生です!……ネーミングセンスがないとか単純とか五月蠅(うるさ)いですよ、無粋ですよ。細かいところはいいのです、活動内容がすべてなのですからね!


「ルーシー、どうかしたのかしら?」


「え、あ、マリレア姉様、なんでもないです」


「わたくしはイメルアが第二王子に心移りしたことにショックを受けているのかと思ったわ」


「え、は?んなわけ「ルーシーは確か第二王子派だったわよね?」


 んなわけないでしょう、と言おうとしたのを遮られてしまった。一つ言っておきますが王子的立場なんてサラサラ興味ありませんからね?だってそんな立場面倒すぎるじゃないですか。私の身分からいっても、精々新興貴族辺りでいいと思っていますし。


「なっ!?ルーシーってば第二王子様に慕情を!?」


「いえ、みじんも「先月辺りに言ってなかったかしらね?」


「ルーシー!どうして言ってくれなかったの!?……あたくしの勝ち目がなくなってしまう…」


「は?だから「それは、イメルアが諦めなさい。まぁ、わたくしは第一王子派ですからね」


 こいつら……。先ほどから遮られてばかりの私は内心イライラしています。ですが我慢我慢。こんなものは序の口ですからね。というか、先月辺り……確かに言った気がしなくもないです。ですが一つだけ言っておくことがありますよ。私は「本当は好きなんでしょう?」とかマリレアに執拗に聞かれたため「そうですねー」とか適当に誤魔化した時に言っただけですよ!?どれだけ身内が玉の輿に乗ってほしいのですか、この人たちは。


「まあ、どっちでもいいわ!だって王家の方は容姿も麗しいうえに、贅沢が沢山できるもの!」


「そうね、絶対に嫁がなければならないわ」



 いや、そう思っている内は絶対に無理でしょう。そもそもハイネの為にあるような席ですし。あなた方が王子妃なんて周りが許しはしないでしょう。しかしあなた方が王子妃になったら国家予算すら食い潰しそうで恐ろしいです。



「「どんな豪華な日々が送れるかと思うとワクワクします(わ)!」」



 突っ込むのも面倒なので私は黙々とハイネが作ってくれたご飯を食べる。うん、美味しい。ハイネをお嫁さんに貰う人は羨ましいです。嫁いでしまっても、たまには食べさせてもらいたいものです、本当に。



 因みに料理は沢山あるのですが、ハイネが手をつけることは許されていません。なので私が夜食に食べます、と言って余分にとってある食事をハイネの分にあてています。まったく、食事ぐらいは普通にすべきなのに。生きる源ですよ?



 私は玉の輿話題で盛り上がっている二人を横目に、晩御飯をさっさと平らげるのでした。




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