短編シリーズ*旅路
短編シリーズの第2弾です!今回は暗めでございます…。よろしくお願いします。
僕はこの道を辿って、親の跡を継ぐという道しかない。
もう決まってることだから。
僕が生まれたあの日から、こうなることは決まっていたから。
僕はそのことに気づいてしまったから。
もう耐えられないんだ。僕は、この決まった運命に。この、一族の血に。
もう縛られたくない。僕は、自由になりたい。
一人になりたいんだ。
僕は……、僕は…。
孤独を求めてるんだ。
つい2年前、ある資産家の一家で反乱が起きた。彼は家の資産をすべて持ち去り、大勢の友達、執事と共に闇に消えた。
みんなが彼を信じていた。頼っていた。
だから、みんなみんな、彼に付いていった。
一族の主人を捨ててでも。
そして、この事件……その主犯が僕なのだ。
僕が彼であり、彼が僕なのだ。
過去に、もみ消された事件で似たようなことがあった。その彼も反乱を起こし、資産を持ち去った。
「僕と一緒だ」
僕は彼の旅路を辿るしかないないんだ
知ってる。知ってるけど、僕は……
辿るしかないんだ。それが、僕の罪滅しになるのなら、僕は何があっても、どんな不幸が僕に降りかかろうとも、その路を歩き続ける。
僕はただ、妹と…妹のアイと一緒にいたかっただけなのに…あの男は僕と妹を引き離し、母を捨て、愛人と生きることを選んだ…。僕は一族をつなぐためだけの存在だって。
あの男…父と初めて会ったときから、あの顔を初めて見たときから、薄々感づいてた。
でももう手遅れ。
もう
あの平和な頃には
戻れない