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「時間ね……」
「じかん?どうしたの?リリィ」
リリィはとても寂しそうに呟きました。
リーフは不思議そうに首を傾げます。
「リーフ。ララ。よく聞いて。どんな物にも命があるの。花、木、草、葉。一つ一つに小さくても命が宿っていて生きているのよ。だから二人共、森を、命を……」
「リリィ?」
「リリィさん?」
だんだん弱々しくなるリリィの声、リーフとララは心配そうに辺りを見渡します。しかし、リリィの姿は見えません。
「森にも命があるの。私が生まれ、生きた森を殺さないでね。どうかお願い。命を大切にして……」
辺り一面が雪でおおわれて真っ白になりました。
静まり返った白い森には小さな人間が並んで立っています。
もう、リリィの気配も声も何も感じません。
沈黙に耐えられず、リーフは空に向かって叫びました。
「リリィ!どうして?どこにいるの?もうあえないの?これもうんめいなの?リリィってば!こたえてよ……」
「リリィさん!わたし、まだいちどもあそんでいないよ。おねがいだからへんじをしてよ?」
妖精、リリィは森と雪と共にこの小さな人間の前から姿を消してしまいました。