表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fairy and Flower  作者: 美雨
8/11

8



「ちがう……?」



「泣かないで、リーフ。ママはあなたのことを嫌いではないわ」



「でも、ママはぼくとおはなししてくれなかったよ」



完全に透き通ってしまったリリィの手が優しくリーフの頭を撫でます。

突然感じた柔らかい感触に体を硬直させたリーフ。

すぐに正体がリリィだと分かり、安心しました。



「ママはね、病気がリーフに移らないようにお話するのを我慢していたのよ。本当はリーフと遊びたいのに、お話したいのに、でもずっと我慢していたのよ」



「ママはぼくがうまれたからびょうきになったんだ。だから、しんじゃったの。がまんするならぼくなんて……」



『うまなければよかった』

次々と溢れだす涙が邪魔して言葉が出てきません。

隣で見ていたララは何も言わずにそっとリーフの手を両手で包み込みました。



「違うわ。ママはリーフを愛しているの。ママが死んでしまったのはリーフ、あなたのせいではないわ。これはきっと運命よ。ママの命は決まっていたの。だから、ママはあなたを産んで良かったと思っているわ」



リリィは母親が子供を宥めるようにリーフに言い聞かせました。


「ほんとうに?リリィ。ママはぼくのことをきらいじゃなかったのかな。あいしてくれていたのかな……うんめいってなに?」



「リーフくん。うんめいはね、だれもかえられないんだよ。わからないけどきまっているの」



大人しくリーフとリリィの会話を聞いていたララはにっこりと笑いかけます。

その姿を見てリリィは安心しました。


灰色の雲によって薄汚れていた空は急に暗くなり、白く、冷たい結晶がはらり、はらり、と落ちてきました。



「ゆきだ。ゆきだよ、リリィ。ねぇ、ララ!」



「うん!ゆきだね!とてもきれいだよ」



二人は小さな手を精一杯空に向かって伸ばしています。

リーフの顔から涙が消え、笑顔が浮かび上がりました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ