7
次の日も次の日もそのまた次の日もリリィは木の根元で二人を待ち続けていました。
冬になりました。
枯葉は少しずつ散り、風が冷たく吹く中、二人の子供はゆっくりと森へ向かっています。
森は驚くほどがらりとしていました。
花は枯れ、木の実は無くなり、落ち葉が辺り一面に敷き詰められています。
「…………リリィ?」
男の子は小さな声で大きな木に呼び掛けました。
「久しぶりね。リーフ。ララ……元気にしていたかしら?」
リーフとララの頭上から弱々しく綺麗なリリィの声が聞こえてきます。
「ひさしぶり。リリィ。ぼくはげんきだよ」
「こんにちは。リリィさん。どこにいるの?」
「……ここよ。もう二人には見えていないのね」
ザァと風が音を立てて強くうなり声をあげました。
木に残っていた葉は次々と飛ばされ、やがて木には一つも葉が無くなりました。
リリィは静かに言います。
「ごめんなさい。ララ。あなたと遊んであげられなくて。でも私、ずっとこの木で待っていたのよ。その間にもたくさんの命が消えてしまったわ」
「ごめんね。リリィ。あのね、ぼくのママはしんじゃったんだ。ママがずっとねていたのはぼくがうまれたから、からだがよわくなっちゃったの。パパがそういってた。ぼくね、ずっとかんがえていたんだ。ママはぼくがうまれたからしんじゃったのかなって。ママはきっとぼくのことをきらいだったんだよ。ママのそばにいても『お外で遊んでらっしゃい』ってママはぜんぜんぼくとおはなしをしてくれないから、ぼくのせいでねていないといけなくなっちゃったから、ぼくを……ぼくをみるのがいやだったの。ママはぼくのせいでしんじゃったからゆるしてくれないのかな?パパもぼくのこときらいなのかな」
リーフはとうとう泣き出してしまいました。ララは心配そうにしています。
「リーフ。それは違うわ」
リリィは優しく話し掛けました。