5
たくさんの子供達の中にはリーフはいませんでした。
よく耳を澄ますと子供達がいる一つ上の窓から泣き声が聞こえてきます。
リリィは子供達に素早く近づいて二階には何があるのか。問いかけました。
すると子供達は口々に答えます。
「ぼくたちのおへやがあるんだよぉ」
「みんながおやすみするところですよ!」
「わたしとおんなじおへやにね、あたらしくきたリーフくんがいるんだよ。おとこのこなのにずっとないているの」
リーフと同じくらいの女の子が悲しそうに言います。
「リーフ?リーフがいるのね。どうして泣いているの?」
泣いている理由が分からず、リリィはとても心配になりました。
「ようせいさんはリーフくんのおともだちなの?あのね、パパとママにきらわれちゃったからないているんだって。いんちょうせんせいはそっとしといてあげてっていっていたよ」
「そうよ。リーフとはお友達なのよ。院長先生?……ここは孤児院なのね。あなたも今日から私のお友達よ。可愛い人間さん。お名前を教えてちょうだい?」
リリィはこの建物が孤児院と分かり少し悲しくなりました。
こんなにも愛らしく、可愛い人間をどうして捨ててしまうのかリリィには理解できません。
せめて純粋な心を持つ目の前の子供達が真っ直ぐに育って欲しいと願いをかけます。
「ほんとう?あのね、わたしのなまえはララ。ここにずっとすんでいるの!ようせいさんは?」
「ララ。とても可愛い名前ね。私の名前はリリィよ。この先にある森にずっとずっと住んでいるの。リーフの涙が枯れた時に二人で遊びにいらっしゃい」
「ありがとう!リーフくんといっしょにぜったいあそびにいく!」
玩具が散乱している部屋を見渡すといつのまにか他の子供達は自分の部屋に戻っていました。
気が付くと空は群青色に染まり、いくつもの星が光っています。