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「……木を殺したのは大人よ。リーフは悪くないわ」
リリィは自分に言い聞かせるように呟きます。
どんなに人間が憎くても小さな人間には罪はありません。
リーフが憎い人間になってしまわないようにリリィは考えました。
「様子を見に行ってみましょう」
考えがまとまらないリリィはゆっくりと雲で覆われた空を飛んで、森を半分以上破壊して作ったリーフが住む街に向かいました。
もしかして、あの小さな人間も森を、自然を殺したのか。そんな不安がリリィの中に広がります。
レンガで埋め尽くされた地面。
その地面の上に我が物顔で建っている建物。
街を見渡すと緑はどこにもありませんでした。
土すらもありません。
「酷いわ……こんなに自然を殺してしまって。人間は自然がないと生きていけないことを知らないのかしら。残酷すぎるわ」
派手なドレスを着たご婦人。片手に杖を持ち、偉そうに革靴を鳴らして歩く老人。この街は裕福な家庭が多く自然を殺す人間で溢れているように見えました。
リリィは涙が出そうなのをこらえて街を探索していきます。
純粋な人間にしか見えない、森の妖精はすれ違う人間を睨み、憎しみで心が埋まっていくのを感じました。
しばらく自分を見えない人間に囲まれていましたがある白く大きな建物の前に着くと窓から自分を指す子供達がたくさんいました。
リリィは純粋な心に触れ、憎しみが少し薄れていくのを感じ、子供達に微笑みかけます。
「ようせいさんだぁ!」
「えほんとおんなじできれいなひとだね」
「ようせいさん!わたしとおはなししようよ」
「ぼくもぉ!」
几帳面に並んだ四角い窓からは子供達の小さな手がリリィを招いています。