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「……だぁれ?」
音もなく男の子の前に降りたのは透明な羽を持つとても美しい少女でした。
腰まで伸びたふわふわの茶色い髪が太陽に照らされてきらきらと透き通っています。
男の子にはお伽話に出てくる妖精のように見えました。
「こんにちは」
男の子は驚いてただ少女を見つめていることしかできません。
「こんにちは。小さな人間さん。あなたのお名前は?」
少女はにっこりと微笑み、もう一度声をかけました。
「ぼ、ぼくはリーフ」
リーフと名乗った男の子はおどおどしながらも勇気を出して答えました。
「私はリリィ。この森で生まれた妖精よ。リーフ。あなた達人間が来る前からずっとこの森に住んでいるの」
「ようせい?……ほんとう?リリィはほんとうにようせいなの?」
「そうよ。姿を見せた人間はリーフが初めてだわ。私ね、今とても暇だったの。何かをしたくてうずうずしているの」
リリィはリーフから目をそらさずにふわふわと飛び回ります。
まるで何かを待っていたかのように。青い瞳をきらきらと輝かせながら。