表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fairy and Flower  作者: 美雨
10/11

10


何年か月日が経ちました。

寒い冬が過ぎ、暖かい春の季節。

リーフは院長先生からクリスマスプレゼントに貰った花の種を持ってララを連れて出かけて行きました。


泣いてばかりいた男の子の面影は薄れ、茶髪が目立つ整った顔立ちの少年へと成長したリーフ。

長かった焦げ茶色の髪は肩の上で綺麗に切り揃えられ、ピンクのワンピースがよく似合う可愛らしい少女へと成長したララ。


二人はあの時と同じように並び、森を目指してゆっくりと歩いています。

しかし、細い小道を抜け、たどり着いた先は地面が真っ白な煉瓦でおおわれたとても広い所でした。


真ん中には小さな時計塔。それを囲むように小さな花壇がありました。



「ごめんね。リリィ。僕達はリリィの生まれた森を守ることが出来なかった」



リーフは時計塔の前に膝をつき、居るはずの無い妖精に語り掛けました。

返事は無く、春風がリーフの前髪を揺らします。

ララはそっとリーフの隣に座り、話し掛けました。



「仕方ないよ。リーフ。私達は子供だったから、幼かったから、何も出来なかった。仕方ないの」



ララはリーフを慰めるように言いました。


リリィが去った後、人間の心に憎しみが増え、領土や地位を奪い合う醜い争いが始まりました。


リーフ達が産まれた街は貴族が多く住む、恵まれた環境にありました。


小さくもなく、大きくもなく、治安が良い街はすぐに大国に狙われてしまいました。

穏便な話し合いが出来るはずもなく、次々と街に攻め入る兵士。


貴族達は戦いの先頭に立ち、兵を集め、戦いましたが三日も保たずに大国の兵士に鎮圧されてしまいました。


リーフ達が住む孤児院は崩壊し、子供達は数人しか生き残りませんでした。


幼いながらに街の危機を感じ、燃え上がる孤児院をララと抜け出して森へ向かったリーフ。


二人が森に着いた頃は既に森は焼け、黒い煙におおわれた野原のようになっていました。


大国に負けてしまったただの街は国の一部として支配され、たくさんの命を奪われました。

幼かったリーフとララは国民として受け入れられ、孤児院と言う名の軍事学校に入学させられてしまったのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ