嘘のホント
とあるところに一匹の狐がいました。
母と別れをしたばかりの女狐でした。
季節は秋、赤い紅葉した綺麗な木で森が彩られる季節。
この狐はよく人を騙していました。
しかしそれは、賢いということ、決して忌み嫌われるようなことではないのです。
狐は一人になっても大丈夫だと感じていました。
いつも彼女を可愛がる子供のところに行き、子供部屋の窓のところに座っていつも通り危険がないか見回します。
そうこうしていると、狐は違和感を感じます。
いつもの時間になっても子供が窓から現れないのです。
狐はなんだか心配になり、窓の中を覗きます。
除いた先にいたのは、苦しそうにベットに横たわるいつもの少年の姿がありました。
そして、狐の耳には医者のような人の声が聞こえてきました。
「もう、この街の医療じゃ助からない」
狐は一気に不安感に駆られ、なぜか空いていた窓から中に入り女の子の姿となって彼の枕元に座り手を握ります。
「……ケーキ?…ああごめんね、僕もうご飯あげられないや」
狐は、何も喋ることができませんでした。
今まで彼女は彼を利用しているという感覚しかなかったのです。
入り込んだものはいいものの、少年になんと伝えようか、そう迷っていると無意識に嘘が口から飛び出してきました。
「大丈夫、君は助かるよ」
それは、女狐が少年についた最初で最後の嘘でした。
彼女はどうしてそんな言葉を発したのでしょう。
真実を知りながらありもしない希望を与えてなんになるのでしょう。
「美味しい」
彼女は最期の食事をとりました。
同じ罪で倒れられるように。
きっと、二人は同じ旅路を行けるでしょう。
一生。




