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第五話 洗脳

中には玉座に据わっている男性と、その後ろに控える女性と男性がいた。

女性は、動きやすそうな中国風の服をきているのと、騎士のような鎧をつけている2人。

男性は、刀をもっているやつと、パーカーをきている気だるげなやつだった。

合計4人。男女比半々というところか。

不意に玉座の男性が話しかけてきた。


「やあ、よくきてくれたね。歓迎するよ」


明確な殺意を感じる。

その殺意の発生源は玉座の男性ではない。

後ろの4人から滲み出た殺意だった。


「何が歓迎だ。こちらは殺意を向けられてるってのによお」


「君の方が強い殺意じゃないか」


そう言われた瞬間、危険だと感じた。


「殺意じゃねえ。戦闘意思だ...!」


「そうですか。まあいいです。後ろの方々もふくめ、幹部に戦ってもらいましょう」


4対4

一見すると条件は同じように思えるが、圧倒的にこちらが不利だ。

戦えるのは2人のみ。その上、あと2人も守らなければいけない。さらに、相手はプロ。並大抵の力では勝てない。


「本気でいくか。理菜!大希と自分を守れるか?」


「不安しかないわ」


「軍下にくだらせてやればいいのですよ。お得意の料理でね」


「なんか、いけそうな気がする。ありがとう優遊」


「そんじゃ、()るぞ」


「「はい!!」」


「わかった~」


俺は、刀持ちと中国風と戦うことになった。

優遊は女騎士、理菜はパーカーを相手にするようだ。


刀がふりおろされた。それを防ごうと動いたところで、中国風が強力な蹴りをいれようとしてくる。

見事な連携だが、それだけだ。行動パターンが決まっているということ。


「そちらさんの動きはもう見切ったぜ」


そして一呼吸おいてから、能力を使った。


心体強化(アクセルルーン)


次の瞬間。刀は折れ、中国風は壁に打ち付けられていた。刀持ちは戦意喪失、中国風は戦闘不能。


「こっちは片付いたな」


そう言い、周りに目を向けると、大希が攻撃されそうになっていた。


△▼△


私は、騎士さんの攻撃をよけながら、対抗策を考えています。

騎士さんの剣の動きに乱れはないです。

だけど、なぜか規則的に見えるのは、気のせいでしょうか。

私に近づいてきて、縦、横、縦、切り上げ、逆から切り捨て、そして切り上げ。

このパターンな気がします。

隙ができるのは、横のあとですね。


縦をよけて...隙にはいって投げようと構えた瞬間、切り上げをもろにくらった。


「いっ」


傷口からは血があふれだしてくる。


上半身を切り裂くように傷ができた。このままでは、出血性ショックで死ぬ。

どうにかしないといけないのに...

もう意思が持たない。

これでおしまいかな。

でもまだ光がみえる。


それは幻影ではないようだ。


「優遊を癒せ!【治癒(ヒール)】!」


傷口が光輝きながら閉じていった。


「優遊!大丈夫!?!?」


「なん...とか...!?大希、よけて!」


女騎士がすぐそこまで迫ってきていた。

剣がふりおろされ、


その剣は衝撃でふっとばされた。


「おいおい。俺の大希に手を出すのは許さねえぞ」


騎士はすぐ、体制を整えたが、剣がないため、何もできない。

隙だらけだ。


「大外刈!1本!!」


投げ飛ばされた女騎士は、気絶した。

あとは、理菜が無事かというところなんだが、

理菜はだれよりも早くパーカーを倒していた。


△▼△


パーカーは、スタンガンを構えてきたが、私は気にせず、スタンガンを奪い、コンロ代わりとした。そこら辺に鉄板も落ちてたからそれも使って、料理を始めた。食材はここにくる途中のスーパーで寄り道して買ってある。


完成したのは、得意料理の矢忌蘇刃(やきそば)

それを無理矢理、パーカーの口にいれると、倒れて死亡寸前になってしまった。


それも当然。スタンガンの電気が鉄板に通って、その電気が矢忌蘇刃(やきそば)にたまったままだったのだ。電気を口から食べているのと同じだ。しかも、味もとんでもなくひどいため、すぐに死にかけてしまったというわけだ。


△▼△


「気絶するほど美味しかったのね」


「絶対そんなことないと思うよ~」


「ある意味最強ではないでしょうか。私は死にかけたのに、ピンピンしているなんて」


「後衛だけど、こうげきする。それヤバイな」


「そういや~凪はどこ~」


「「「確かに」」」


「忘れてたね」


「今どこにいるんだよ」


すると、返事が返ってきた。


「ここだ。支部長の後ろ」


「「「!?!?」」」


「いつからいたのです!?」


「最初っからだよ」


扉を開く寸前に俺は、【存在感操作(スペクトシャドウ)】を使っていた。


「そして、このUSBメモリをもらってたんだ」


「それはそれは、返してもらいましょうか。もう一度働きなさい、【洗脳(コークァ)】」


すると、倒れていたはずの4人が再び起き上がり、がむしゃらに攻撃してきた。

こちらはよけるのが精一杯だ。

無規則な動きに惑わされて、攻撃の隙が見つけられない。

ここは、俺がやるしかないな。この4人は、体を操られているだけだ。

そこで、俺は、暁止に小声で言った。


「時間稼ぎをしてくれ。俺があいつを捕まえる、【存在感操作(スペクトシャドウ)】」


これでだれにも気付かれていないはずだ。

そっと支部長に近づいて、支部長と目があった。


「!?」


「そうくると思っていたよ。君の能力は声を出すと切れてしまうんだろう」


「...」


完全に図星だ。


「ただ、私はいつも能力を使っているが、それを応用して、自分自身で戦うこともできるんだ」


厄介だな。俺は戦うことは苦手だ。

能力の条件はなんだ。

ずっとこいつが避けていること。


まさか、男女比がそろわないと、命令できないとか。

幹部は引き留めてくれてるから、気にしなくていい。能力を解くしかない。


「お前の能力は、男女比がそろわないと、命令できないんじゃないか?」


「どうしてそのように」


「お前の能力を発動することができる人は、目があった人か、1度洗脳したことがある人だ。さっき、俺と目があったのに、洗脳しなかった」


「正解です。しかし、()()()とはいきませんでしたね。正解した賞品として、ちがうところを身をもって体験させてあげましょう」


「遠慮する」


「まあまあそう言わずに」


「別に洗脳される気はない」


「残念です。この能力は洗脳する気がなくても、めがあったら5分後には洗脳してしまうのですよ」


「今すぐ倒すというだけだ」


「そんなことできるのでしょうかねえ」


怪しい。後ろの4人が気になって振り向くと、暁止が自身の安泰を犠牲に幹部全員を倒していた。

回復はされてこそいるが、反動で寝込んでいる。


「暁止!!」


駆け寄ると、近くにいた大希が支部長へ向かっていった。


「大希もどってこい」


「イヤ。じゃますんな凪」


大希は本気で怒っていた。

怒りのせいで、能力も理性も感性も口調も制御できていない。


「毒に侵され、苦しめばいいんだよ。反転能力【毒性(ニヒト)】」


「なん...なの...です...か...?からだ...が...いた...い」


「お前の血液の一部を痛覚を開く力を備えた神経毒に変化させた」


「...そん...な...」


「僕は、慈悲深くはないから。苦しめ。みんな、帰るよ」


「わ、わかったわ」


「本当に大希なんですか?」


「僕は僕に決まってるでしょ」


「証拠は手に入ったし、暁止は俺が担いでいくよ」


「それじゃ、ばいばい。ゴミッカスが」


大希が最後に支部長に向けた言葉には強い怒りと悲しみが混じっていた。

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