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ゾンビが溢れかえった世界でのんびりスローライフに挑戦してみた  作者: アルシャピン


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第6章 空っぽの村

奴らを排除し集落に戻ると、空気が違って感じられた。

さっきまでここは“狩場”だったが今は、ただの廃村だ。

俺はまず、周囲をぐるりと一周する。

生き残りの基本だ。


「安全だと思った瞬間が一番危ない」


音に耳を澄ませる。

風の音。

川のせせらぎ。

木が擦れる音。


――呻き声は、ない。


よし。

家屋は古いが、数はそこそこある。

玄関が開きっぱなしの家、障子が破れている家、内側からバリケードを組もうとした形跡がある家。

どれも途中で放棄されたようだ。


---逃げた。


それも、急いで。

俺は一軒目に入る。

床は埃だらけだが、荒らされた形跡は少ない。

棚を開ける。

鍋、錆びた包丁、調味料の瓶


――中身はほぼ空


押し入れには毛布が二枚。

カビ臭いが、無いよりマシだ。


次の家。

缶詰が三つ。

賞味期限?

今さら気にしないしこの環境で一年も過ごせば多少は強くなる。

ただ食べる前には慎重にテイスティングはする。

手持ちにはドラッグストアを周り一通り手に入れた薬はあるが、使わないに越したことはない。

この世界で病気や大怪我をすれば、それこそ一貫の終わりだ。


また次の家。

乾麺、塩、ライター。


……当たりだ。


一軒一軒回るうちに、あることに気づいた。

略奪された形跡がない。

外部の生存者が通ったなら、もっと徹底的に荒れているはずだ。

だが、この村は違う。

「人がいたまま、いなくなった」感じがする。

つまり――


ここにいた人たちは、早い段階でまとまって逃げた可能性が高い。

最初にいた奴らは、村人の逃げ残り、もしくは近くで感染した奴らがこの場所に辿り着いた可能性が高い。

服装が部屋着のような奴もいたから逃げ残りが濃厚だが。


それは、俺にとって悪くない情報だった。

村の奥へ進む。

すると視界が開けた。


……畑だ。


それも、かなり広い。

家庭菜園レベルじゃない。

村全体で使っていたであろう畑。

区画が分かれ、用水路も引かれている。

草は伸び放題だが、土はまだ死んでいない。

踏みしめると、柔らかい感触が返ってくる。


そして、畑の端に――水。


小さな水場だ。

湧き水か、沢から引いたものか。

澄んでいて、流れがある。

俺はしゃがみ込み、手ですくって匂いを嗅ぐ。


……大丈夫そうだ。


煮沸は必要だろう。

だが、水がある。

これは、でかい。

俺は畑と水場を交互に見た。

心臓の奥が、少しだけ熱くなる。

……ここ、当たりかもしれない。

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