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プロローグ

久々に一次創作がしたくなり戻ってきました。何卒よろしくお願いいたします。

この勢いに乗ってゆるっと〜の方もじわじわ続き書きたいな。とりあえずはこちらをなんとか無理しない程度に頑張ってみます。

皆さん、突然ですがこんにちは。ではなかった、こんばんは……こんばんは。世間的にはこの挨拶で正しいんだよなぁ。こちらも正しく現実を突きつけられて初っ端から涙出そう。実際には涙を流す気力もないけど。

何故いきなり私が泣きそうになっているかといえば、答えは簡単だ。眠れていないのだ。全く。ここ何日も!ずっと!

失礼、取り乱してしまった。しかし、ここまで寝つきが悪いのは間違いなく人生初めてだ。そもそもが眠りに落ちにくいルーナリア王国民と言えど、いくらなんでもここまで眠れないというのはおかしい。

まあ確かに、素直に王都の方に居を構えず、こんな辺鄙な森の奥深くに住み着いている私も悪い。仕方ない、人が嫌いだから。

人は嫌いだ。簡単に裏切るしうるさいしめんどくさいし。だったらどうすればいい?そう、人里から離れればいい。

というのはまあ振り切った考えである自覚はあるものの、実際王都の不動産屋でもぶっちぎり不人気だったこの物件に二つ返事で入居してから、生活はかなり快適になった。

元は金持ちが道楽で作ったというこの物件は、王都から大幅に外れているというだけで生活に必要な設備は一通り揃っており、あくまで私の話にはなるが、生活を営む分には何一つ不自由がなかった。嗚呼素晴らしきかな孤立物件、なんと言っても煩わしいご近所付き合いがない。というかご近所がいない。強いて言うなら森の動物たち。動物はいい。人語を話さないから。

と、うっかり思想の強さを垣間見せてしまったが本当に快適に暮らしていたのだ。眠れなくなるまでは。

「まあここまでの発言が全部独り言の時点でだいぶ頭にガタがきてるな」

ここまでの謎実況・解説は絶賛眠れない私がお送り致しました、という台詞は頭の中だけで言うに留めておいた。

今夜も自分を照らす月を見上げ、眠気のねの字もないくらいくっきりとした意識に思わず溜め息が零れる。

いくら心身ともに健康であることに自信がある私といえど、ここまで眠れない日々に少々参ってしまっているのは事実だ。

一瞬頭にある考えが浮かんだものの、頭の中の天秤が速攻【実行しない】に傾き、再び溜め息をついてからもそもそとベッドに潜り込む。カーテンを閉め忘れたけれど、もうめんどくさいからいいや。どうせしばらくは(ということにさせて欲しい)眠れないのだし。これだけ寝不足なら眠る時はスコンと寝るだろうから、暗かろうが明るかろうが同じことだ。

ぎゅっと目を瞑って、月に背を向けるように寝返りを打った。




───いや眠れん。

眠れなさすぎる。わかってはいたけど。こんな眠れないことある?あるんだよな〜これが。もうなんなんだ。もうなんなんだ!

なんかもう、段々イライラしてきたな。なんですか?人里離れた森の奥で静かに慎ましく暮らしているこの私、セレネ・リーネルが何をしたって言うんですか?

何処にぶつけていいのかわからないし、実際ぶつけようもない怒りに突き動かされ、むくりと身体を起こす。見上げた月は相も変わらず煌々と輝いていて、腹立たしいことこの上ない。

こうなったらヤケだ。先程思いついて即打ち消した最終手段を実行してやる。結果がどうなっても知らないもんね。

誰に言っているのか自分でもわからないまま、誰に配慮しているのか自分でもわからないまま、ベッドから音を立てないようにそっと抜け出した。

ランタンを引っ掴んで控えめに軋むドアを開ければ、月と星々と帳が降りた空に出迎えられる。普段歩き慣れた道とは反対の道に足を向けてから、一瞬躊躇ったもののしっかりと一歩を踏み出した。

始めに思いついた時には全く気が進まなかった、というより実行を即取りやめた割に足取りは軽い。自分でも意外な程に。

やけくそが八割だが、残りの二割には正直期待があったことは否定できない。何かが変わるかもしれない、という。

森の中では少々心許ない灯りを頼りに、黙々と歩き続ける。


目指すは、王都の街道だ。


セレネ、開幕怒りの行進。

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