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フィリスと生徒会長

「まず、私と生徒会長……ユーリとの関係からお話しましょう」

「ユーリ……?」

「彼女の名前です、聞いた事ありませんか?」

「ううん、初めて聞いたかも」

そうですか、と言ってフィリスは話を続けた。

生徒会長の名前は、ユーリ

彼女は、私達と同じこの学園の二年生。

生徒会は二年生から入れるのだが、一年生の入学式の日に突然会長として就任したらしい。

それから、彼女が会長になってからというもの、いじめなども無く平和な学園になったと言う生徒もいたらしい。

それどころか、彼女に恋をする生徒も多くいて、ファンクラブまで存在しているらしいけど……

「会長さんとフィリスは一体どういう関係なの……まさか恋人だったとか……」

「まさか。私達はね、幼馴染なの」

「幼馴染……?」

「そう、小さい頃から両親同士が仲良くて、よく一緒に遊んでいたの」

そこで、フィリスは一度言葉を切る。

そして、悲しそうな顔をしながらまた話を始めた。

「私とユーリは、小さい頃はとても仲が良くて、いつも一緒でどこに行くにも二人一緒だった。それは、大きくなってからも変わらなくて、私はずっと一緒に居られると思っていたの、でも、そんな生活が壊れてしまった」

「生活が壊れてしまった……?何かあったの……?」

私の問いに、フィリスは黙ってしまった。

聞いちゃいけないことだったかな……と思い、謝ろうとした時、フィリスが小さな声で答えてくれた。

その声は震えていて、今にも消えてしまいそうだった。

「あの人は私の事を騙していたの……」

「騙す?ちょっと話が見えないんだけれど……」

「いつもの様に過ごしていたある日、ユーリに呼ばれたの、私と話したい子がいるって言われてね。その時の私は何も疑わずに付いて行ったわ。そうしたら、いきなり知らない人達に囲まれて、魔法で拘束されて……」

「えっ!?それっていじめじゃん!!?フィリスは大丈夫だったの?!!」

「えぇ、心配してくれてありがとう……それでね、あの子が私に近づいて来て言ったの、貴女みたいな、聖女のなりそこないに、なんでこんなに優しくしてあげたか分かる?って」

「フィリスはなんて答えたの?」

「分からない……って、そうしたらあの子教えてあげるって言ってね、貴女と一緒に居れば私の評価が上がるからよ。って笑ったの。私はそれが信じられなかった、だってあの子は昔から優しい子で、誰にでも分け隔てなく接してて……でも、あの子の目は違った。冷たくて濁っていて、私は怖くて動けなくなったの」

そこまで話すと、フィリスは下を向いてしまった。

肩が小刻みに揺れていて、泣いている事が分かった。

私はそっとフィリスの手を握る。

フィリスは驚いた様子で私を見てきたけれど、そのまま手を握って続けた。

少しでも、フィリスの力になれたらいいな……

そう思いながら。

「そしてあの子はこう言ったの。

ここにいる子達が教えてくれた、フィリスは私の事を都合のいい玩具だって思ってるって。私そんなこと思ってない、きっとそこにいる子達に何か言われたんだと気づいて伝えたけれど彼女には何も伝わらなかった」

そう言って、フィリスは私を見て少しだけ微笑んでくれたけれど

でも、それはどこか寂しそうだった。

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