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市場と見慣れない果物

「さて!次は何処に行こうか?」

「えっと……」

「俺達もここで大丈夫です、ありがとうございました」

そう言って、ルークは頭を下げる。

私とエミリアもそれに続いてお辞儀をする。

「えっ!?俺何かしちゃったかな?」

「いえ!そういう訳では無いのですが、そろそろご迷惑になると思って……」

ルークがそう言うと、アルフレッドは大袈裟に首を振る。

それから、迷惑だなんて思っていないし、それに……と続けた。

話によると、アルフレッドさんは私達が困っていたのが分かったらしく、だから放って置けなかったらしい。

「でも、僕が勝手に決めたことだし……君達だって三人で行きたいところもあったよね」

そう言って、アルフレッドさんは申し訳なさそうな顔をした。

確かに、最初はいきなり話しかけられて、少し戸惑ってしまったけれど

今はこうして一緒にいるのがとても楽しかった。

私は、アルフレッドさんの目をじっと見て、それから、笑顔でこう言った。

「もし、また出会う時があったら……その時はまた案内してくれますか?」

すると、彼は一瞬驚いた顔をしたがすぐに笑顔になった。

そして、もちろん。と言い、また会える日を楽しみにしているとお互いに約束をして別れた。

*****

「アルフレッドと別れちゃって良かったの?」

「えぇ……アルフレッドさんには申し訳ないのですが、三人で無いと話せない事もあるので」

「でも、アルフレッドは本当に良い人だったな……普通に旅行に来ていたのならもっと沢山遊べたのにな」

ルークがボソッと呟いた言葉に私達は、そうだね。と同意した。

私達は今旅行に来ているのではなく、黒いローブの男の情報をつかむ為、ムルを助ける為、そして……魔女を倒す為。

その為に、一般市民を巻き込むわけにはいかない。

だから、私達はアルフレッドさんとは離れなければならなかったのだ。

そうして、私達は王都を見て回った。

この国は、自然が豊かで食べ物も美味しい。

けれど、こんな寒い所だと言うのに、新鮮な食べ物が沢山あると言うのが

少しだけ引っかかる。

「次はどうするんだ?」

「そうですね……少し、調べたいことがあるので市場に向かいましょうか」

「はーい!女将さんにもおすすめしてもらったしね!」

「えぇ、ルークも大丈夫かしら?」

「うん、大丈夫だよ。市場だっけ?じゃあ行ってみようか」

そうして、私達は市場に向かった。

市場に着くと、あまりの人の多さに驚いてしまった。

私達は、人混みの波に流されないように気をつけながら歩いた。

すると、突然エミリアが立ち止まった。

どうやら、気になるお店があるようだ。

私達は、エミリアの後をついて行くことにした。

そこは、果物を売っているお店のようで、見たことの無い色とりどりの果実が並んでいる。

「すっごーい!こんな果物見た事ないよ!」

エミリアは興奮しながら、目の前にある赤い実を手に取り眺めている。

私も、初めて見るものばかりで目が離せなかった。

すると、店主と思われる男性が私達に話しかけてきた。

「それが気になるのかい?それはリンゴって言う果物だよ」

「リンゴ?それなら私の国にもあるけど……」

「ははっそれは普通のリンゴだろ?コレはうちの特産品の特別なリンゴなんだ」

「へぇ……なんていう名前なの?」

「それは言えないんだ、この国の決まりでな。それに!うちの特産品は他の国には売らないって決めているんだ」

そう言って男性は、笑っていた。

その様子から察するに、この人は嘘はついていないように思える。

他の国では売られていないと言うことは、この国独自の物なのかしら……?

そんな事を考えていると、エミリアは手に持っていたりんごをそのまま買ってしまった。

それも三つもだ。

エミリアは、お金を渡してからありがとう!と言ってお店から離れた。

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