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作戦会議

「さて、これからどうしましょうか」

「う~ん……正面から堂々と……なんて、ダメだよねぇ……?」

「そうですね、私達の存在を知られるわけにはいきませんから、こっそり侵入したいところなのですが……」

「それも難しいだろうな、あそこは見張りも多いだろうし……」

三人で考え込んでいると、ふとエミリアが呟いた。

私達の会話を聞いていて思った事があるみたいだ。

何か良い案でもあるのかな? エミリアは自信満々といった様子で、私の方を見るとこう続けた。

「魔法使えばいいじゃん!転移魔法!」

「あ、色々あって忘れてました……」

「でも、見張りがいる所に出たらどうするんだ?」

「それは大丈夫です、私の力で周りの様子は確認できますから」

「じゃあ!それで決まりだね!!早く行こう!!」

そう言って、嬉しそうな顔をして立ち上がり、扉の方に向かっていったエミリアを

私とルークが慌てて止めた。

エミリアはどうして?っていう顔をしながら振り返った。

危ない……このままだと、一人で行っちゃいそうだ。

私達は、エミリアに説明する事にした。

「今日はまだ行きません。行くにしても情報がまだ少ないですし、今日はまだ大人しくしてないと怪しまれてしまいます」

そう言うと、エミリアは不満そうに頬を膨らませた。

……けど、今は我慢してもらいたい。

だって、まだ分からない事が多すぎるし、何より準備不足だ。

もし見つかったら、逃げ切れるとは思えないし、そもそも勝てるかどうかも怪しい。

だから、慎重に行動しないと……

「こんな目の前にあるのに……」

「しょうがないだろう?ちゃんと準備して、後日出発しよう」

ルークがそう言うと、エミリアは分かったと呟いて、座り直した。

とりあえず、納得してくれたみたいだ。

それから、私達はしばらく作戦会議をして、今日は宿に帰ろうと立ち上がった。

*****

「あれ~随分遅かったね~?何処まで行ってたの?」

宿に戻ると、出掛ける前に話をした人達がまだいた。

どうやら、お酒を飲んでいるらしくかなり酔っているようだ。

私は、軽く会釈をするだけで通り過ぎようとしたのだが、腕を掴まれた。

どうやら、離してくれる気は無いらしい。

「一緒にお酒飲んでいかないの~?」

「私、お酒が得意ではないので……」

そう断っても、手を離す気配は無く、更に強く引っ張られた。

どうやら、帰してくれそうにはない。

すると、私の隣にいたルークが男の腕を掴んだ。

「今日は疲れているので、失礼します」

そう言って、私達を連れて歩き出した。

そして、部屋に着くとドアを閉めて鍵をかけた。

これでやっと一息つける……

そう思って安心していると、今度はエミリアが抱きついてきた。

一体何事!?と思っていると、エミリアが上目遣いでこちらを見つめてくる。

「あなた……まさか酔ってます?」

「ん~~酔ってないよぉ~?」

「いや、酔ってるだろ……そう言えばエミリアはお酒に弱かったっけ……」

「えぇ、飲んでは無かったみたいですが、匂いと雰囲気で酔ってしまったのでしょう」

エミリアは、少しお酒の香りがするだけで酔ってしまう体質で、あまりお酒を飲まないようにしていたのだけれど……

そんな事を考えながら、エミリアを支えながらソファーに座って休ませると、 ルークが水を持ってきてくれた。

それを受け取り、エミリアに渡すと、ゴクゴクと勢いよく飲み始めた。

どうやら、喉が渇いていたみたいだ。

しばらくして落ち着いたのか、お水をテーブルに置くと私に話しかけてきた。

さっきまでの元気が嘘のように静かで少し心配になる。

「本当に魔女の所に行くの……?」

エミリアは、少し泣きそうな声でそう言った。いつもの明るいエミリアからは想像出来ないくらい不安げな表情をしている。

私は優しく抱きしめ頭を撫でると、微笑みながら答えた。

「そうですね、その為に来たんですから」

そう、私達は魔女を倒すつもりでここに来たんだ。

ここで、怖じ気づくわけにはいかない。

私の胸の中にいたエミリアは、いつの間にか眠っていて、寝息を立てていた。

相当無理をしていたのかもしれない。

エミリアの優しさに感謝しながら、そっとベッドに運んだ。

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