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本当の気持ちは……

「あーあ、ルカ行っちゃったね?」

「…………エミリア、見てたのか」

「まぁ、あんなに騒いでたらね。安心して、あの子たちはあのやり取りを見てないから」

そう言ってエミリアはにっこりと笑った。

けれど、その笑顔はいつもと違っていて、なんだか怒っているように見えた。

それもそうだ、俺と同じように、エミリアもルカの事が大好きで大切だから……

だから、そんなルカを傷つけた俺の事が許せないのだろう。

「それで、ルークはどうしたいの?」

「俺は……出来る事ならルカにあの事は秘密にしたい……」

「でも、そうしたらきっとルークの信用は

なくなるよ?それでもいいの?」

エミリアの言葉を聞いて俺は下唇を強く噛む。

確かに、このまま黙っていたら、きっとルカは俺を信じてくれないだろう。

でも、俺はこれ以上ルカに嫌われたくない。

傷つけたくないし、泣かせたくもない。

「…………言うしかないんじゃないの?」

俺が考えているのを察したのか、エミリアがそう呟く。

そして、エミリアはルカが走り去っていった方を見ながら 言葉を続けた。

「このまま黙っていたら本当にルカに嫌われちゃうよ?ルカも本当はあんな事言いたくは無かったと思う……でもね、信用している人から隠し事されたら

悲しいし不安になるんだよ?……それに、私は二人が喧嘩したり、すれ違ったりなんて見たくないし、ルカだって、本当の事を知れば分かってくれるはずだからさ。」

そう言うと、エミリアは俺の方を振り向き にこっと微笑みかけてから、私は二人の事が大好きだよ、だから頑張ってと言って俺の元から去って行った。

「エミリア……ありがとう」

俺はそう呟いて、ルカが走っていた方へと急いで向かった。

*****

私は今、勢いであんな事を言って飛び出したことを後悔していた。

あんな事を言うつもりは無かったのに、私の口からは思っても無いような冷たい言葉が次々と溢れてきた。

「ルーク……」

やっぱり、ルークはエミリアの事が好きなのだろうか……

ううん、そんな事は無いと自分に言い聞かせるけれど、不安のせいからか色々な事を考えてしまう。

「ルークはもう私の事嫌いになったの……?やだよ……ルーク……」

消えそうな声で呟くと、目から涙が零れ落ちた。

こんな所で泣いてはダメ、そう思っているのに涙は全然止まらなくてどんどん流れてくる。

どうしようと思っていると、後ろから誰かの声が聞こえて来た。

振り向いてみるとそこには、息を切らせているルークの姿があった。

「ルーク……?」

どうして、どうしてここにいるの? そう思ったけれど、それよりも、今、一番会いたくなかった人物が目の前にいることに動揺してしまい、上手く言葉を発せられずにいると、ルークは私に近付いてきて 優しく抱きしめてくれた。

ルークの腕の中はとても暖かくて、凄く落ち着く。

けれど今は、この腕の中にいると余計に悲しくなってしまって、また泣き出してしまった。

「ルーク離して……」

「いやだ………離さない……」

そう言ってルークはさらに強い力でギュッと抱きしめて来る。

苦しいくらいだったけれど、今の私にはそれが嬉しかった。

暫くするとルークは私をゆっくりと引き離してから 真剣な表情で私を見つめた。

その瞳は少しだけ潤んでいるように見えた。

「ルカ……まずは、君を不安にさせてしまったことを謝らせて欲しい、ごめん」

「………いいえ、大丈夫ですよ、ルークにも色々ある

と思いますし……」

私がそう言うと、彼は困ったように笑いながら 少しだけ話をさせてくれないかと聞いてきたので、私は小さく首を縦に振った。

ルークは少しの間何かを考えてから、私に真っ直ぐな視線を向けて、口を開いた。

「まず、エミリアと俺の事は誤解だ。信じて欲しい……」

「……そんな事言われなくても分かってますよ、ルークとエミリアがそういう関係じゃない事ぐらい」

「そっか……次の事はルカの事を巻き込んでしまうかもしれない、それでも、最後までちゃんと話すから、だからもう少しだけ俺の話を聞いて欲しい」

ルークがそう言った後、私たちは暫く何も話さずにお互いの目を見つめていた。

それからどれ位の時間が経ったのか分からないけれど、先に沈黙を破ったのは私で、分かりました、と一言呟いてから、ルークの話を聞くことにした。

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