表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/316

その頃ルークは……

ルカ達が楽しくお喋りをしている間、俺は一人隣の部屋で寝る準備をしていた。

隣からは、キャッキャッと楽しそうな声が聞こえてきて何を話してるのか気になったが、聞かない方が良さそうだと思い

気を逸らしていたけれど、俺の耳にはずっと彼女たちの声が届いていた。

最初から一人で眠るつもりだったけれど、隣から楽しそうな声が聞こえてくると、何だか仲間はずれに

されたようで少し寂しいな。と思ってしまう。

けれど、今日のお泊り会で、彼女達の仲はおれから見ても縮まったと思う。

特に、今日会ったばかりのフィリスとはずっと昔から友達だったような、そんな雰囲気さえあった。

「きっとエミリアのお陰だな……」

ふっ、と笑い天井を見上げる。

エミリアは昔から、どんな人ともすぐに仲良くなることが出来た。

俺とルカもその中の一人で、誰とも仲良くする気が無かった俺と、引っ込み思案で誰とも仲良くしようとしなかったルカ。

それを引っ張り出してくれたのがルカだった。エミリアは一言で表すと太陽のような奴で日陰にいた俺達を

日向へと連れ出してくれた。

「本当に……感謝してもしきれないな……」

そんな事を呟き、隣から聞こえる彼女達の楽しそうな声を

聞きながら俺は目を閉じた。

*****

次の日の朝、目が覚め時計を確認すると時刻は6時過ぎだった。

早く起きすぎたか?と思ったけれど、人の家で寝坊する訳にもいかないし

なと思い体を起こす。

寝室を出て、顔を洗い、着替えてリビングに向かう。

すると、キッチンに誰かいるようだったので、邪魔しないようにそっと覗くと

ルカとフィリスが楽しそうに話しながら食事の支度をしている所だった。

手伝おうか、そう思ってキッチンに入ろうとしたけれど、きっと俺が入ったらフィリスが緊張するだろうし、そのまま引き返す事にした。

*****

「ルーク、ちょっといいですか?」

朝食も済んで、解散しようとなった時、ルカに声を掛けられた。

俺はにっこりと笑ってどうした?と聞くとルカは少し悲しそうな表情をした後

深呼吸をして、こう言った。

「私に何か隠してますよね?」

「俺がルカに?」

「はい。ルーク……それにエミリアも」

「どうしてそう思うんだ?」

「お泊り会をしたいって急に言ったこと、楽しそうなのにどこか悲しそうな表情をしていた事……」

ルカは、今にも泣きそうな声で

そう言うと俯いてしまった。

俺はそんな彼女をみて、少し考え込んでしまった。

ルカにはやっぱりバレてしまうんだな……北の国の事、闇の魔法の事……

伝えてしまえばきっと楽になれるのかもしれない、けれど話してしまったらルカを巻き込んでしまう。

ルカならきっと、私も行くって言うだろうからな……けれど、それは出来ない。

ルカは俺の大切な人で、守るべき人だから。

「私には言えない事なんですか……?」

「…………ごめん」

「…………ルークは私よりエミリアの方がいいんですね」

「ちが………っ!」

「…………ごめんなさい、これ以上いたらもっと酷い事を言って

しまいそうだからもう行きますね……」

ルカはそれだけを言うと走って行ってしまった。

追いかけようとしたけれど足が動かないでいた。

俺はただ……ルカが大切で……守りたいだけだったのに……

どうして、こんな事になったんだろうか……

そんな事を考えながら俺は、走っていくルカの背中を見る事しか出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ