楽しい夜ごはん
「着いたー!」
「ここがエミリアのお家……」
「そうだよ~!ほら!早く入ろう!」
エミリアがフィリスの腕を引っ張り、家の中に入って行った。
私達もその後を追いかけるように家に入る、エミリアの家に着いた私達は、早速買ってきたものを冷蔵庫に入れるために、キッチンの方へと向かった。
「さっきからキョロキョロしてるけれど、どうしたの?」
「あ、いえ……私あまりお友達の家に行くことが無かったので、つい見てしまいました……すみません……」
エミリアは、謝らなくてもいいんだよ!と言ってフィリスの頭を撫でた。フィリスも少し恥ずかしそうにしながらも、嬉しそうに笑っていた。
エミリアは優しい子だから、きっとフィリスとも仲良くなれると思う。
そんな二人を見ながら、私は沙羅の隣に立った。
「あの二人仲良くなれそうですね」
「うん、今日来れて良かった」
そう言って微笑む沙羅に、そうですねと言って二人で微笑んだ。
沙羅に初めて会った時は守らなきゃ、だなんて思ったりしたけれど今は
違う。彼女は私よりも強くて、優しくて……きっと、学園で色々な事を
学んで、もっと素敵な女性になるだろう。だから、いつか彼女が困った時や悲しい時に、隣に立って支えてあげられるようになりたい。その為にも、今よりもっともっと頑張らないと。 そんな事を考えながら、ふと沙羅を見ると彼女と目が合った。
「ルカ?どうかしたの?」
「ううん、沙羅も成長したんだなって」
「もう、子供扱いは止めてよね……」
そう言いながら頬を膨らませる彼女を見て、思わず笑みが零れた。
そんなやり取りをしていると、先頭を歩いていたルークがこっちを向いて
いた。
「ほら、そろそろ作り始めないと遅くなるぞ」
「ルーク!そうね、早く運んじゃいましょう」
そうして私達は、急いでキッチンへと向かった。
キッチンに着くと、それぞれ作業に取り掛かった。
材料を切ったり炒めたり、順調に進んでいった。
「後は煮込むだけだね」
そう言う沙羅は、とても楽しそうだった。
それからしばらくすると、カレーの良い匂いが立ち込めてきた。
「わぁ~美味しそう~」
エミリアが目を輝かせてそう呟いた。
ご飯の準備が出来たので、盛り付けて皆でテーブルに運んでいく。
材料は普通のカレーなのに、皆で作ったからからかな?すごく美味しそうに見えた。皆で席について、手を合わせる。
いただきますと言う声と共に、皆スプーンを手に取った。
一口食べると、スパイスの効いた味が広がり、辛さが食欲を掻き立てた。
皆、黙々と食べていて、時々感想を言い合う程度だった。
しかし、暫くするとエミリアと沙羅が、おかわりする!と元気よく 言ってくれて、その言葉を聞いて、他の皆も嬉しそうだった。
お腹いっぱい食べた後、皆で片付けをして、リビングでくつろいで居た。
ソファーに座っていると、エミリアが隣に来て話しかけて来た。
沙羅はと言うと、ルークと何かを話しているようだった。
「エミリア?どうかした?」
「ううん、今日は楽しかったな~って」
「そうね、私もすごく楽しかった、ねぇ?フィリス」
そう言って私は、遠くで話に入りたさそうな顔をしていたフィリスに声をかける。すると、彼女は少し驚いたような顔をしながらこちらに歩いて来た。
すると、沙羅もルークとの会話が終わったのか、一緒に歩いて来た。
三人で並んで座ると、エミリアが急に笑い出した。
私達は何事かと思い、彼女に目を向ける。
「えへへ、なんか家族みたいだな~って思って!」
そう言うエミリアの顔はとても幸せそうで、私達も自然と笑顔になった。
そうして、私達の楽しい食事会は終わった。




