夜ごはんのお買い物
「そう言えば、学園の方は大丈夫なのか?」
「あっ!確かに、勝手に泊まるわけにはいかないよね……?」
ルークとエミリアは、沙羅とフィリスの方を向いてそう聞いた。
けれど、二人は困った様な表情はしていなくて
それどころか、どこか誇らしげな顔をしていた。
「ん~大丈夫だよ!ね?フィリス」
沙羅は、少し考えてからそう言った。
フィリスが、えぇ。と言って、それを聞いて沙羅はふふんっと
得意げな顔をした。
「実はね!お泊りの許可をもらっているのです!だから心配ありません!」
そう言って胸を張る沙羅に、エミリアはすごい~!と言って頭を撫でていた。沙羅も、えへへ~と、気持ち良さそうにしていた。
それを微笑ましく見ていると、フィリスと視線が合った。目が合うと、すぐに逸らされてしまったけど、彼女の頬は微かに赤く染まっていた。
「ふふ、フィリスも頭を撫でて欲しければいつでも言ってくれて良いのですよ」
私がそう言うと、また顔を真っ赤にしたフィリスは俯いて、小さな声で
お願いします……と呟いた。その姿が可愛くて思わず笑みが零れた。
「よしよし……」
私がそう言いながら、優しく頭に触れると、フィリスは更に耳まで赤く染めて
照れていたけれど、嫌では無さそうだったので、そのまま撫で続けた。
暫くそうしていると、ルークが咳払いをした。
「そろそろ行かないと暗くなるぞ?」
「そ、そうでした!早く買い物に行きましょう!」
ルークにそう言われて、慌てて手を離す。
何故かフィリスは残念そうな顔をしていて、沙羅はにこにこと笑っていた。
「じゃあ、改めてお買い物にしゅっぱーつ!」
エミリアが元気よくそう言うと、私達は皆、返事をして歩き出した。
買い物に向かいながら、今日のご飯はどうしようか?とか、何を食べたいか?などを話し合って、何を作るか決めていくことにした。
因みに、皆の料理スキルは特に心配はなく、フィリスも問題なく出来るらしい。
「そう言えば今日は何処にお泊りするつもりだったの?」
「あ……考えてなかった、私の所はダメだし……」
「じゃあ、私の所に来れば大丈夫だよ!」
「エミリアのお家に?迷惑じゃない?」
「うん!全然平気だよ~」
そんな会話をしながら歩いていると、いつの間にかお店に着くことが出来た。
お店の中に入ると、沢山の食材が並んでおり、色々あって目移りしてしまう程だった。とりあえず、皆で手分けして必要なものを探すことになった。
今日作る料理はカレーだ。
お泊りならカレーでしょ!と沙羅が提案したからだ。
「カレーなら……これと、これと……あとこれも」
思いつく食材をカゴに入れ、次はお肉のコーナーに行く。
どれがいいのか分からなかったので、店員さんに聞いてみた。
すると、おすすめを教えてくれたので、そのお肉を買っておくことにした。
野菜コーナーに戻ると、皆も丁度戻って来たようで、沙羅と一緒に食材を持って歩いてきた。
「これで大丈夫かしら……?」
「うん!ありがとう!皆で頑張って作ろうね!」
そう言う沙羅はとても楽しそうにしていた。
私達も、沙羅と同じ様に楽しみになってきた。
それから会計を済ませて、荷物はルークが持つことになり、お店を後にした。
「ちょっと、買いすぎちゃいましたかね?」
帰り道、フィリスが苦笑いを浮かべながらそう言った。
確かに、私達の持っている袋の中にはかなりの量の食材が入っていた。
「確かに……ルーク重くないですか……?」
「いや、大丈夫だ。気にしないでくれ」
ルークはそう言ってくれたけれど、やっぱり少し心配になってくる。
それに、彼の表情には疲れが見えている気がするし……。
「やっぱり、私も少し持ちます」
「でも……」
「ほら、貸してください」
そう言ってルークの手から袋を
一つ取ると、彼は驚いた表情をしていた。
そして、すぐに笑顔になると ありがとなと言ってそのまま歩き始めた。




