新しい生活に新しい友達
私は今、教室の扉の前に立っています。
さっき、ルカと別れてここが私の教室だと説明されたんだけれど……
やっぱり、入る勇気が無くて……
なんて考えていたら、目の前の扉がガラッと開いて、担任の先生らしき
人が教室の中から現れた。
「高木さん?どうかしましたか?」
「あっ!えっと……」
いきなり話しかけられて、言葉が出てこなかった。
どうしようかと考えていると、後ろから声を掛けられた。
振り向くとそこには、金髪碧眼の美少女がいた。
髪は背中まで伸びていてサラサラとしている。
「先生?その子が聖女様の……?」
「あ、フィリスさん。そうです、彼女が高木沙羅さんです」
「そう……よろしくね、私はフィリス。このクラスの
委員長をしているの。」
そう言って、彼女は優しく笑った。
とても美人だ……こんなに綺麗な人がいるのか……と思わず見惚れてしまう。
「あっ!よろしくお願いします……!」
慌てて返事をして、ペコリとお辞儀をする。
すると、くすりと笑い声が聞こえてきた。
その方を見ると、フィリスが可笑しそうに笑っていて 私もつられて一緒に笑う。
その光景を見て、先生も安心したのかほっとした表情を浮かべている。
「さぁ、高木さん中に入って。皆さんも、授業を始めますよ高木さんの席はフィリスさんの隣ね」
そう言って、先生は前を向いてしまった。
私も緊張しながら、教室の中に入る。
皆の視線を感じながらも、先生に指定された席に着くと、
隣に座っているフィリスと目が合った。
彼女もこちらを見ていたので、お互いに見つめ合う形になってしまった。
すると、フィリスはふわりと微笑み、私にだけ聞こえる声で
『これから、よろしくね』と囁くように言った。
それに私も、答えるよに小さく、よろしくね。と答えた。
*****
放課後、私は寮に向かっていた。
寮生活だなんて、あっちの世界でも、したことが無かったから正直不安だったけれど、今は少し楽しみでもあった。
部屋の場所は、先生から事前に教えてもらっていたので、迷うことなく到着した。
「ここか……おじゃましまーす……」
そう言って部屋に入って、まず驚いたのがその広さだった。
大きなベッドがあって、机もあって、お風呂場もあって……
まるでホテルみたいだ……と思わず思ってしまった。
「寮って言うからもっと質素な感じだと思ってたけど……」
部屋は一人部屋だし、お風呂も大浴場とかじゃなくて一部屋に一つだし……
「私が想像していた、寮とはだいぶ違うなぁ……」
荷物を置いて一息つき、窓の外を眺める。
寮からは、校舎が良く見えて、下校する生徒達の姿が見える。
「本当に入学しちゃったんだなぁ……」
授業はやっぱり難しかったけれど、ルカとエミリアと勉強したおかげか
入学したばっかりでも授業に付いていくことが出来た。
「二人には後でちゃんとお礼をしないとね、それに友達が出来たって報告もしないと……!!」
友達と言うのはもちろん、フィリスさんの事だ。
フィリスさんは、凄く優しくて良い人で、すぐに仲良くなれた。
しかも凄いお嬢様みたいなんだって!
私が、そうなの!と驚いたら、この学校じゃ珍しくないよと言っていて、本当に凄い所に入学してしまったなぁ……
なんて、思ったり。
「あぁ~早くフィリスさんの事紹介したいなぁ~~ふふっ、ルカ達
驚くだろうなぁ~」
二人の驚いた顔を想像しながら、クスクスと
一人で笑いながら、荷物の整理を始めた。
私が吞気に笑っている間に、ルカが
大変な目に合っていた事など知らずに……




