アルマの企み
最近、アイツの様子がおかしい気がする。
アイツと会話する事は、ほとんどないが
ここ数日は、いつもと違う雰囲気を感じる。
何か企んでいるんじゃないか、そんな事を考え
探りを入れてみたが、気のせいじゃないですか?と返されて終わった。
だが、それが逆に怪しい……
「まさか……!アイツの事がバレたんじゃないだろうな……」
俺はそう呟いて、頭を抱える。
この事は絶対に隠し通さなければならない。
バレてしまったら、この術は成功しないのだ……
そう思ったら、居ても立っても居られない。
一刻も早く、確かめなければ……!そう思った俺は、急いで立ち上がり
アイツにに連絡をとる事にした。
*****
「おい!」
「おや、貴方から連絡だなんて珍しいですね?どうかされましたか?」
「どうかしたじゃない!お前の事がバレたかもしれない!」
俺がそう言うと、電話口の向こうでクスッと笑う声が聞こえた。
何が可笑しいんだ!こっちは笑いごとではないのに……!! そう思いながら、相手の言葉を待つ。
「それは、有り得ないと申し上げたはずですよ」
落ち着いた声で、相手が答える。
確かにコイツは、バレる可能性はほぼ無いと言っていた。
でも、万が一という事もあるだろう……!? だから、不安なんだ……
そう思っていたのが伝わったのか、またクスクスと笑い声が聞こえる。
「何がそんなに面白いんだ?」
「すみません、貴方があまりにも必死だったので。でも、そうですね……貴方がそこまで言うのなら、少し対策をしておきましょうか。私も聖女の力が貰えなくなるのは困りますからね」
そう言って、電話越しの相手はクスクスと笑いながらそう答えた。
一体何を考えているのか分からないが、ここは任せるしかない……
そう思って、俺は小さく息を吐いた
「とにかく!お前には期待してるんだ、失敗だけはしないでくれよ」
そう言って、通話を切った。
頼むぞ……これが、成功しないと全てが水の泡になってしまうからな……
そう思うと、余計に焦ってしまう。
俺は絶対にルカを手に入れる……失敗は許されない……!
「待ってろよルカ……絶対に俺の物にしてやるからな……」
*****
アイツと出会ったのは、俺がルカに婚約破棄を言い渡された時だった。
あの時の俺は、かなり荒れて、まともな思考回路ではなかった。
もう何もかもが嫌になって、自暴自棄になってしまっていた。
そんな時に、偶然出会ったのが、アイツだ。
出会った時のアイツは、黒いローブに身を包み、深くフードを被って顔を隠していた。その風貌からは、怪しさしか感じなかった。
「聖女を自分の物にしたいとは思わないか?」
突然現れたと思ったら、開口一番こんな事を言ってきた。
その時は、あまり興味もなかったし、どうせ頭のおかしな奴だろうと決めつけ 相手にしなかった。
「はっ、そんな事出来るはずがないだろう」
そう言って、その場を去ろうとしたのだが 突然、腕を掴まれ引き止められる。
そして、無理やり手を握られ、何かを渡された。
それを見ると、手のひらに収まるくらいの小さな紙だった。
「何だこれは……」
「これを、聖女に渡せばいい……そしたら聖女は貴方の物になる」
そう言って、ニヤリと笑みを浮かべている。
その笑みを見た瞬間、ゾクッとした感覚に襲われた。
本能的にヤバいと感じた。
だが、それと同時に、好奇心のような感情が沸き起こる。
「本当にか?渡すと言っても、俺に会ってくれるとは限らんだろう」
俺は、冷静さを保つように心掛けて質問をする。
すると、アイツはクスクスと笑ってこう言った。
―――大丈夫ですよ、必ず会えますから。
そう言って、アイツは不敵に微笑む。
「だが、渡すとしても怪しまれないか?」
「それも大丈夫です、聖女様の力に触れればこの紙は消えますので」
そう言いながら、手の中にある小さな紙をじっと見つめる。
そんな事が可能なのか? もし可能だとすれば、何故それを俺に教えてくれるんだ? 色々疑問はあるが、まぁやるだけやってみるか……
そう思いながら、紙をポケットにしまう。
すると、アイツは満足そうな表情を浮かべ ありがとうございます、と礼を言われ
いつの間にか姿を消していた。




