エミリアの気持ち
三人と別れて一人になったとたん、私は不安に押しつぶされそうになった。
「皆にはあんな事を言ったけれど……本当に成功するかも分からないし……」
エミリアなら大丈夫、なんて言ってくれたけれど、それでも不安は拭えなかった。
でも、今は行動しないと何も始まらない。
私は、町を出る前に調べられるだけの情報を調べようと決めた。
まずは、味方になってくれそうな人達を探すところから……
「ルカとルークと私の両親はきっと手伝ってくれるだろうけど……」
身内の協力だけでは、信用されないだろうし、もしも失敗した時に迷惑をかけてしまう。だから、他の人達の協力も必要になる。
「もっと強い……力のある人が……」
そう呟いて、私は歩き出した。
やはり、力がある人と言えばこの国の権力者である王族の人達。
あの人たちは、聖女の力を大切に思っているし、何よりルカの事が大好きな
人達だから、手伝ってくださいと頼み込めば手伝ってくれるかもしれない。
けれど……私にはその人達に頼む為の力やコネもない。
私がルカと友人関係にあるのは知っているだろうけど、友人にそう言われて
はいそうですかと動く人達ではない。
ルカが頼み込めば、すぐにでも手伝うって言ってくれるのかもしれないけれど
出来れば、それはしたく無いなぁ……
だって、この役目をするのは私とルークなのだから。
「ルークに相談してみよう」そう思った私は急いで家に帰ることにした。
*****
家に帰り、周りに誰もいないことを確認して自室に籠ると、ルークに
電話を掛けた。
数回、コール音が鳴り響いたあと、電話の向こうからはい。という声が
聞こえた。
「もしもし、ルーク?」
「エミリア?こんな時間にどうしたんだ」
「うん、さっき話してた事で相談したいことがあって……今大丈夫かな?」
「大丈夫だが……相談したい事って?」
不思議そうに聞いてくるルークに、私は先程考えていた事を話してみた。
すると、少しの間沈黙が流れてから、わかった。と一言だけ返ってきた。
「いいの?ほんとに?」
「当たり前だろう、それに……俺も気になっていたことだからな」
「ありがとう……!ねぇ、ルーク……ルカをこんな危険な
事に巻き込んでごめんなさい」
「なんでエミリアが謝るんだ?エミリアは何も悪くない、悪いのはあのバカだ」
そう言うと、電話越しにルカの怒る声が聞こえる。
私は思わずクスリと笑ってしまう。
それから少しだけ会話をして、またね。と言って電話を切る。
私は、大きく深呼吸をして気持ちを整えた。「まずは第一歩……って感じかな」
そう自分に言い聞かせて、ベッドの上に横たわった。
天井を見上げながらこれからの事を考える、協力してもらえるって分かるまできっと、結構時間がかかると思うから、その間に私が出来る限りのことをしなくちゃ。あの人達以外の協力者を見つけて、私達の両親達にも話をして……
やることが多くて大変だなぁと思いながらも、頑張ろうと決意を固め眠りについた。翌日になり、私は自分の両親に話をした。
話を聞いた両親は、凄く怒っていてルカの為ならなんだって協力してくれると言ってくれてすごく嬉しかった。「待ってて………絶対助けてあげるからね……!」
そう小さく呟き、私は部屋を出た。




