沙羅の悩み
あの夜、珍しくルカから電話が掛かってきて、どうしたんだろう?
と少しわくわくしながら、私は電話に出た。
その内容は、私に寮に入って欲しい、と言う内容で……
ルカの話し方的に何かあるんだな、とは思ったけれど私は深く聞くことは
無かった、その代わりに私はルークに電話を掛けた。
*****
『沙羅?君が俺に電話だなんて珍しいね、どうかした?』
「うん……あのね、さっきルカから電話があったんだけど」
『ルカから?珍しい事も有るもんだね』
「うん、それでね……ルカに寮に入って欲しいって言われたの」
『寮?学園の?』
「そう!いきなり言われたからびっくりしたんだけどいいよ、って答えたの
でも……何かある気がして……ルカ、多分何か隠してる気がする…ルークは
何か知ってる?」
『いいや、俺も初耳だ……そうか、ルカが……』
「ルーク?」
『分かった。俺から何か聞いておくから、今日はもう休んだ方がいい』
「うん、ありがとう…!おやすみなさい」
『おやすみ』
そんなやり取りをして、ルークとの電話を切った。
ルークも知らなかったか……ルカどうしたんだろう……
そんな風に悩んでいたら、コンコンと部屋の扉がノックされ、はい。と返事を
すると執事さんが来て、旦那様がお呼びですと一言告げられた。
一体何の用だろう?と思いつつ、私は部屋を出てアルマの部屋へと向かった。
*****
「アルマ様、沙羅です」
「あぁ、入れ」
「失礼します」
正直嫌な予感しかしないけれど、一応聞かないと分からないし……。
そんな事を思いながら、アルマの向かい側のソファーに座ると 執事さんが紅茶を出してくれたので、ありがとうございます、と言って、紅茶を一口飲んでから本題を切り出した。
「あの……私に用事って」
「ルカが俺の元に戻りたいと言っててな、一応お前にも言っておかないとと思ってな」
「え?ルカがですか……?」
「あぁ!だが、今はお前がいると言っても愛人でもいいですから……!と縋ってきてな、全く可愛いやつだよ」
そう言って、ニヤニヤと笑うアルマを見て、私は言葉を失った。
まさか……そんなことって……
けれど、この人の事だ。また、自分にいいような解釈をしているに違いないと
思ったけれど、今ここで問い詰めるわけにはいかないので、とりあえず様子を見る事にした。
そして、私は笑顔を作って言葉を返す。
でも、きっと引き攣っていると思う……。
これ以上ここに居ても意味が無いと思った私は、すぐに席を立った。
早くここから立ち去りたかったのだ。
「今日はもう遅いので、失礼しますね」
「あぁ、おやすみ」
「おやすみなさい」そう挨拶を交わして、私は急いで自分の部屋に戻った。
自室に帰り、バタンと扉を閉じると、はぁ~と大きいため息と共にその場に座り込んでしまった。
「あの人……怖すぎる……」
そう呟いて、私はしばらく動くことが出来なかった。
あの電話のルカの様子がおかしかったのは、きっとあの人のせい。
多分、あの人がルカの家に押しかけて何かしたんだろう。
あの人が何をしたのかは、私には想像もつかないけれど……「この事……ルカに伝えなきゃ……」
そう思って、電話に手を手に取った時、ある考えが頭を過った。
今、ルカに電話をしたらあの人に怪しまれるのではないか、と。
あの人は勘が鋭いから、バレたら厄介だし、だからといって伝えるなら早いほうがいい。
「はぁ……どうしたら良いんだろう」
そう呟いて、私は天井を見上げた。




