表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/316

ルークにバレました

「ねぇ、ルカ」

「何でしょうか?ルーク」

「俺に何か隠し事してるでしょう?」

私の家に来たと思ったら、突然そう言われて私は戸惑っていた。

確かに、私は昨日の出来事を誰にも言わずに黙っていた。

それは、余計な心配をかけたくなかったからなのだけれど……。

「なんでそう思うのですか?」

「昨日の夜、沙羅から電話がかかってきてね……」

「沙羅からですか?」

「そう、学園の寮に入れっていきなりルカに言われたんだけどルークは何か知ってる?みたいな事を相談されてね」

「えぇ……確かにそのお話はしました。けれど、それがどうかしたんですか?」

そう言うと、ルークは何故か不機嫌そうな顔をしていた。

やっぱりルークに隠し事するなんて難しいのかな、なんて思っていると、突然腕を引っ張られて抱き寄せられてしまった。

あまりに急な事に頭が混乱してしまい何も言えずにいると、耳元で囁かれた。

「……嘘つき」

その言葉を聞いた瞬間、私はビクッとして身体が固まってしまう。

何が起こっているのか理解できずに、ただ呆然としていると、 今度は顎に手をかけられて上を向かされてしまい目が合う。

「ねぇ、俺はそんなに信用がない?俺はルカの力になりたい……ルカの事が好きだから……」

「ルーク……」

悲しそうな顔をするルークを見て、私はなんて馬鹿なんだろうと

自分がしたことに後悔をしていた。

こんな顔させたかったわけじゃないのに……

ただ、心配とか迷惑を掛けたくなくて、だから昨日の事は秘密にしておこうと

そう決めたのに、こんな顔をさせてしまうなんて……。

私は、ルークを抱きしめ返して謝罪の言葉を口に出す。

「ルーク……ごめんなさい。確かに貴方に私は隠し事をしてました……」

「うん……」

「迷惑とか心配を掛けたくないと思っていたんです……でも、こんな顔をさせて

しまったら意味がないですよね……本当にごめんなさい……」

そう言うと、私はルークの目を見つめた。

ルークは、そんな私の髪を優しく撫でて微笑んでくれている。

「ルーク……貴方に聞いて欲しい事があります。聞いてくれますか……?」

「もちろん、聞かせて」

「……はい」それから私は、昨日あったことを全て話した。

ゆっくりと、気持ちを落ち着かせながら……

正直、今思い出しても怖くて、話している声が震えているのを感じる。

それでも、ルークは私を安心させるように、ずっと頭を撫でてくれていて それに勇気づけられ、なんとか最後まで話すことが出来た。

全てを話し終えると、しばらく沈黙の時間が流れる。

「……ルカ……頑張ったね、怖かったよね……」

「……いいえ、そんな事…」

「あるよ、だってこんなに体が震えてるんだから…」

そう言って、私をギュッと強く抱きしめてくれた。

その優しさに、今まで我慢してきたものが溢れてきて、涙が止まらない。

ルークは、私が泣き止むまでそのまま背中をポンポンと叩いてくれていた。しばらくして落ち着いてきたのを感じたルークは、そっと体を離して 真剣な表情で私を見る。

「もう大丈夫、俺が付いてるから」

「ルーク……でも……」

「俺の大切な人をこんな目に遭わせた奴には相応のお返しをしなくちゃ」

ルークはそう言うと、ニッコリと笑った。

でも、目は笑ってない……むしろ怒りが滲み出てきている。

これは、相当怒ってる……どうしよう……

「ルーク……ほどほどにね……?」

「もちろん」

そう言って笑うルークだったけれど、目だけは相変わらず怖いままだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ