穏やかな時間
あれから私達は、他愛のない話をしながら穏やかな時間を過ごし
気が付けば、日が少し傾き始めていた。
「もうこんな時間ですね、今日はそろそろお開きにしましょうか」
私の言葉に、二人は頷き帰る為の支度を始めた。
ムルは私の上で、もう帰っちゃうの~?なんて言って、まだ遊びたいと駄々をこねている。
私はそんなムルに、また明日も二人に会えるから今日は帰りましょう?と説得すれば
納得はしていない声で、まぁいいよ……と返事を返してくれた。
「ふふ、やっぱりルカとムルは仲良しですね」
「うんうん!なんかお姉ちゃんと妹!って感じでかわいいよね~」
そう言って二人は、私とムルのやり取りを見て優しく微笑んだ。
確かに、ムルの事は友達なのは勿論だけれど、小さい妹のように接しているような気もしなくは無い。
『ルカはおっちょこちょいだからね!ムルがしっかり見てあげないと!』
「あらあら、ムルがお姉さんでルカが妹なのね?」
『そうだよ!ムルの方がお姉さんだもん!だからルカを守ってあげるの!』
そう言って、ムルはえっへんと胸を張る。
そんなムルを見て私は、微笑ましそうに笑いながら頼りにしてるわ、と声を掛ければ
ムルは嬉しそうな笑顔で、うん!と力強く頷いた。
「そういえば、ルカはムルとの記憶ってどれくらい思い出したの?」
唐突に沙羅が、私にそう問いかけた。
私はその問いかけに少し悩んだ後口を開く。
「……実は、まだあまり思い出せていないんです」
「そっか……やっぱり思い出せないって辛いよね」
「そう……ですね。でも、いつかは思い出せると私は信じています」
私は沙羅にそう答え、湖の周りで楽しそうに飛び回るムルの姿を目で追いながら
話しを続けた。
「もし、思い出せなかったとしても……新しく思い出を作っていけばいいだけですから」
私がそう言って微笑むと、そっか……と小さく頷き、もしその時は私も思い出作りに協力させてね?
と言い、ムルがいる方へと歩いて行った。
「もちろん私も協力しますからね」
「フィリス……聞いていたんですね?」
「二人でコソコソとお話してれば気になるじゃないですか」
そう言ってフィリスは、悪戯っ子のような笑みを私に向けた。
それに私は、内緒にするつもりは無かったのですが、と言いありがとうございます。と伝えた。
すると、ムルと沙羅が私達の所に戻ってきて、そろそろ帰ろう?と言い、ムルは私の肩へと飛び乗った。
「あら?さっきはあんなに帰りたくないって駄々こねていたのに……」
『沙羅がね、早く帰らないと美味しいご飯食べられないよ~って』
ムルはそう言いながら、沙羅の方へと顔を向ける。
すると、沙羅はニコニコと笑いながら、そうだよ~と言いながらムルの頭を優しく撫でた。
案外、沙羅も良いお姉さんになりそうね。
なんて、私は二人を見つめながら考えていた。
「じゃあ、そろそろ帰りましょう?遅くなったら危ないですからね」
「『はーーい』」
「ふふ、いいお返事ですね」
そんなやり取りをしてから私達は、家へと帰る為に歩き出した。




