城を出た後に
「ルカ、そろそろ時間が……」
「あら、もうそんな時間だったのね」
私はそう言ってマリーのから離れ立ち上がると、扉の方に向かって歩き出す。
そして扉を開け部屋を出る前に再びマリーの方を振り返り声を掛ける。
「それでは、ごきげんよう」
私はそう言って微笑み、扉に手を掛けた。
そして部屋を後にすると、扉の前で待機していた騎士達に声を掛ける。
「聖女様!ご無事で何よりです……」
「貴方達もご苦労様、扉の魔法は私が掛けておきます」
そう言って微笑むと、騎士達は安心したように息を吐き
ありがとうございます、と頭を下げた。
私は、頭を上げてくださいと言い、扉と向き合うと、ふぅ、と息を吐き
力を集中し、扉に向かって魔法を掛ける。
元々掛かっていた魔法はかなり強力で、中にいる人の力までも奪ってしまう様な……そんな魔法だった。
だから私は、その魔法よりも弱い魔法を扉に仕掛ける。
勿論、他の人達には気づかれないように。
私が扉に手をかざし呪文を唱えると、辺りは眩しいくらいの光に包まれ、 気が付くとそこには、また同じような魔法が掛けられた扉が出来上がっていた。
「これで大丈夫な筈です、もし何かありましたらまた私を呼んでください」
「聖女様、ありがとうございます!私達は、まともな魔法が使えませんから……」
「そうなの……だからこの扉の魔法は、複雑だったのね」
「複雑……ですか?」
「えぇ、長い糸が絡まって解けなくなってしまったような……そんな感じがしたの 。けれど、きちんと魔法を掛けなおしたからもう大丈夫よ、安心して頂戴」
私がそう言えば騎士たちは、何度も頭を下げ感謝の言葉を伝えられ
そんなに頭を下げなくても、と私が言ってもこうしないと気が済まないので
と言われてしまい、私は苦笑しながら分かりました、と答え大人しく
その言葉を受け取った。
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「ふぅ……流石に少し疲れたわ」
「はは、今日のルカは大活躍だったからね、お疲れ様」
「ありがとう、でもお陰で色々な話を聞けたわ……アイクの村に聖女と偽った魔女……もう終わった事だと思っていたのに」
まだ、私の周りに付いて回っているだなんて……
いや、今そんな事を考えていてもしょうがない。
過ぎてしまった過去の事を考えるよりも、今私達の目の前にある問題の方が先だ。
そう思い、私は自分の頬を叩いた。
「ルーク、これからまた大変な毎日になると思いますが……私に付いて来てくれますか?」
「勿論、ルカと一緒なら何処へでもついて行きますよ」
「ふふ、頼もしいわね。……私は沙羅達の様子を見ながら、聖女について調べます」
「聖女……それは魔女の事?」
「はい、マリーが聖女と偽っていたのはあれだけでは無い筈です、それを探しだし見つければ……」
「分かった、けれど無理はしない事。ってもう流石にルカも分かってるよね?」
「もちろんです、何かあったら必ずルークに知らせます」
「うん、俺も色々調べてみるから……決して一人で抱え込む、なんてことしたらダメだからね?」
そう言ってルークは私に優しい笑みを浮かべる。
本当にルークには助けられてばかりだ。
私も何かしてあげられているのだろうか……彼に貰った分を返せているのだろうか? 私はそんな事を考えながら、ルークの手を握りありがとうと伝えた。




