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マリーの気持ちは

「貴女の言っている事は全て事実よ」

「…………そうでしたか、何故そんな事をしたのか聞いても?」

私がそう問いかけると、マリーは私の顔をマジマジと見つめ、ふっと鼻で笑う。

まるで、そんな事も分からないの?と言いたげな顔で口を開いた。

「そんなの、聖女様を陥れる為に決まっているでしょう?まぁ、結局私はこんな所に閉じ込められて

何も出来ずに今に至っているのだけれどね」

そう言ってマリーは自虐的に笑った。

その瞳はとても悲しそうで、私は胸が締め付けられる様な感覚を覚えたのだった。

「ルカ、そんな奴に同情なんかいらないよ……こいつらが何をしたか、覚えているでしょ?」

「はい……」

そう、この魔女マリーは聖女になろうとして私の力を奪い、そして私の大切な人たちを

傷付けた。

この人達の事は、一生許すことはきっと出来ないだろう。

けれど……こんな顔を見せられると、少しだけ心が揺らいでしまうのは、私が甘いからだろうか……

「ルカは優しいからね……でも、心に嘘を付いて許すことは無いんだよ、それもきっと優しさだ」

ルークはそう言って、私の頭を優しく撫でてくれた。

その言葉に、少しだけ心が軽く

なった様な気がした。私は小さく頷くと、マリーに向き直る。

そして真っ直ぐに彼女の目を見つめた。

「貴女は今でも聖女になりたいと思うのですか?」

「…………そうね、もうそんな気力も無いわ。こんな部屋に閉じ込められ、魔力を奪われ

て……このまま朽ち果てるくらいなら、貴女に殺されるのもいいかもしれないわね」

マリーは自嘲気味に笑うとそう言った。

聖女として、彼女の罪を許すことは出来ないけれど、命を奪うだなんてそんな事私に出来る訳が無い。

無くなっていい命などこの世にはないのだ。

私はマリーを真っ直ぐ見つめ口を開いた。

「私にそんな事は出来ません、聖女とは人々を守る存在、命を奪うなど許されません」

私がそう言うと、マリーは少しだけ驚いた様に目を見開いた後 小さくため息を吐いた。

そして私を睨みつける様に見る。

「私には、このまま朽ちて死ぬのがお似合いだと言いたいのね」

彼女のその言葉に、私は小さく首を横に振った。

そしてマリーを真っ直ぐ見つめ口を開いた。

「私は貴女に生きていて欲しい、すべての罪を償って、生きて幸せになって欲しい」

私がそう言うと、マリーは泣きそうな顔をして私を見た。

そんなマリーの手をしっかりと握ると言葉を続ける。

「そして幸せになったその時……貴女の力を認めてくれる方がきっと現れるはずです」

私はそう言ってマリーの目を真っ直ぐに見つめ返す。

彼女の瞳が少しだけ揺らいだ気がした。

そして彼女は何かを考えるように視線を彷徨わせ、小さく口を開く。

「貴女が……ルカがそう言うなら……」

「えぇ……大丈夫マリーならきっと……」

そう言って私はマリーの体をギュッと抱きしめた。

マリーの体が一瞬ビクッと震えたけれど、彼女は抵抗する事無く私に体を預ける様に 体重をかけてくる。その体は震えていた。

「貴女はやっぱり聖女様なのね……はは、どんなに努力しても私は貴女の様にはなれなかったのね……」

マリーはそう言うと、私の胸に顔を埋め静かに涙を流し始めた。

私はそんな彼女をただ優しく抱きしめ続けたのだった。

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