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幸せな時間

この、綺麗な景色を見ていると、不思議と穏やかな気持ちになる。

隣を見ると、彼も同じようで、とても優しい目をしながら町を眺めている。

しばらく二人で、景色眺めたあと、お互い自然と目が合いどちらからともなく 唇を重ねた。触れるだけのキスだったが、とても幸せな気持ちになった。

すると、ムルが突然飛び立ち、私たちの間に割り込んできた。

その姿を見た二人は、顔を合わせて思わず笑ってしまった。

『ムルも一緒に仲良しする~!』

「ふふ、じゃあムルもおいで」

私がそう言って、両手を広げると、そこにピョンと飛び乗ってきた。

そのまま、ぎゅっと抱きしめると、とても温かかった。

ムルは、人の体温に近い温度なので、抱き心地がとても良いのだ。

「俺も仲間に入れて欲しいな~」

そう言って、ルークはムルごと私を抱き締めてくれた。

二人に挟まれて、幸せを感じながら、ムルの頭をそっと撫でる。

ムルも気持ち良いのか、すり寄ってきていて、それがまた可愛かった。

「ムルは、本当にルカが好きなんだね」

『うん!』

ルークの言葉に元気よく返事をしたムルに、私とルークは微笑んだ。

そんな時、ポツリポツリと雨が降ってきた。

「雨……」

「今日はここまでかな…」

「はい……そうですね……」

「ルカ、そんな顔しないで?またデートしよう」

ルークは、悲しそうな顔をしている私の頭を撫でて、おでこにチュッと軽く口づけを落とした。

驚いている私を見て、彼は悪戯っぽく笑っていた。

そして、名残惜しいが帰ることにして、来た道を戻っていく。

「ねぇ、ルーク」

「ん?どうしたの?」

「今日はありがとうございました、私の事心配してきてくれたのでしょう?」

「あはは、バレてた?最近ルカが元気なさそうだったから」

「……ありがとうございます、ルークのおかげで元気になれました」

「そっか、ならよかった」

そう言って、ニコッと笑ったルークを見て、私も笑顔になってくる。

やはり、ルークには笑顔がよく似合う。

私も、もっと頑張ろうと思い、彼を見習って前を向いて歩いていく。

こうして、久しぶりに彼とゆっくり過ごすことができ、

心が満たされていくのを感じた。

「さぁ、帰ろっか。風邪ひくといけないから、これ羽織って?」

「ありがとうございます………」

ルークは、自分の上着を脱いで私に渡してくれた。

私には大きいが、彼の匂いに包まれていてなんだか安心した気分になる。

そして、ムルはと言うと……いつの間にか姿を消していた。

きっと気を利かせてくれたのだろう。

ムルにも後で、ちゃんとお礼を言わないと……

私たちは、濡れないように寄り添いながら歩き始めた。

もう少しだけ、この時間が続いたらいいなぁ……なんて、歩いていたら

いつの間にか、家の近くまで来てしまっていた。

楽しい時間はあっという間だな……と思っていると、急にルークが立ち止まった。

どうしたのかと思って、彼の方を向くと、真剣な表情でこちらを見ていた。

私も、それにつられて緊張してしまい、じっと見つめ返す。すると、彼は私の顔に手を添えてきて、親指で頬を優しく撫でてきた。

ドキドキしながら待っていると、彼はゆっくりと私に近付いてきた。

何をされるのか分かっていたが、私は目を閉じて受け入れた。

すると、唇に触れるだけのキスをして離れていった。

「じゃあ、またね」

「…………はい、また」

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