表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/316

私の作戦

あの話し合いをしてから、数週間が経った。

未だに、私達はいいアイデアが浮かばずにモヤモヤした日々を過ごしていた。

アルマ様に怪しまれると大変だから、と沙羅とはあの日以来会っていない、少し寂しいけれど

仕方がない。

「けれど、あの人が改心する日なんて本当に来るのかしら」

はぁ……と大きなため息を吐きながら独り言を呟く。

だって、あんなに周りの人達に言われていたというのに、あの人は変わることが出来なかったのだから……

「ううん、考えていたって仕方がないわ。今できることをしなきゃ」

私は頬を叩き、気合を入れる。

まず、しなくちゃいけないのは……沙羅とアルマ様との婚約破棄。

あんな人の横に沙羅は置いておけない。

「そうだわ、沙羅はこっちに来たばかり……学園に通ってもらうのはどうかしら……

それなら、あの人といる時間も短くなるし、もしかしたら学園で出会いもあるかも、よし」

そうと決まれば、私は学園に手紙を書くことにした。

沙羅の事、そして私達が今置かれている状況……すべてを説明して。

勝手にこんな事進めてしまって、沙羅はきっと怒るかもしれないわね……けれど、私に今出来る事

はこのくらいだから……


**********

あの手紙を送ってからすぐ、返事が送られてきた。

その手紙には、明日話がしたいと書かれていて私は慌て準備をし、今日がその当日。

「はぁ……久しぶりの学園……緊張するけれど、何だかワクワクするわね」

キョロキョロと辺りを見回す、私が通っていた頃から何一つ変わらない姿を見せる校舎 それに懐かしさを覚えながら、指定された場所へと足を進める。

しばらく歩くと、見慣れた建物が姿を現した。

「懐かしいわね……あの頃は確か、あの辺りでお茶したり、あ!あそこは私とエミリアがふざけて遊んでいて落っこちた噴水!まだ残って

いたんですね……ふふっ」

あの頃の思い出を思い出すだけで笑みがこぼれてしまう。

けれど、今日ははそんな事をしに来たのではないのだ。

深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

よしっ!と声を出して扉をノックする。

「……どうぞ」

「失礼します。お久しぶりです、学園長」

「おぉ、ルカ久しぶりじゃな……そこに、座りなさい」

「はい、失礼します」

そう、私が今日会いに来たのはこの学園の学園長。

この方には私が学生の頃本当にお世話になっていて、今でも私の事を気にかけてくれて

くれて、何かあれば力になってくれる心強い味方。

「それで、手紙の件だが……あの、聖女をこの学園に入れたいと」

「はい、あの子はこの世界に来て大変な思いをしています。それに、あの子はまだ高校生だと……だから、少しでもここで楽しいことや嬉しいことを体験して欲しいのです」

そう、沙羅はまだ高校生……この世界で友達を作って、あの人の事を少しでも

忘れられる時間を作ってあげたい、ただそれだけの願いなのだ。

すると、学園長は目を閉じ何かを考えていた。

「あの子は……アルマ様の婚約者だと言ったな?」

「はい、アルマ様は私と婚約破棄して、あの子を……」

「と言う事は、あの子もルカと同じ目にあっていると言う事か……」

「…………はい」

「そうか……」

学園長はそう呟いて、また目を閉じ何かを考え始めた。しばらくして、学園長がゆっくりと口を開く。

「…………わかった、あの子を学園へ受け入れよう。だが、特別扱いはしない」

「もちろんです、私もそうでしたからね」

「ルカは聖女様だというのに本当にお転婆で……」

「そ、それは昔の話ですわ……!!こほん、学園長本当にありがとうございます。でも、彼女が

本当に困ってるときは助けてあげてください。学園の中に私はいないので……」

「…………分かった」

そう言って、学園長は微笑んだ。

良かった……これで、沙羅も少しは気が楽になるはず。

あとは、この話を沙羅に伝えないと……

私は、学園長に挨拶をして学園を後にした後、この話をするため

沙羅のいる屋敷まで向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ