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新たに分かった事

沙羅が言うには、私達が思うような事はされていないから

大丈夫、心配しないでという事だったけれど、それを話す彼女の表情は

大丈夫とは程遠いもので、私は思わず彼女を抱き締めていた。

だって、こんなに悲しそうな顔をしているのに大丈夫だなんて言われても信じられる訳がない。

「ねぇ?その大丈夫って言うのは、誰かに何か言われたらそう言え、ってあの人に言われたんじゃないの?」

「ち、ちがいます……」

「本当に?今は私達しかいないんだから本当の事教えて欲しいな」

「で、でも……」

「私達の事は信用できない……かしら?」

「ううん、そんな事ないよ!でも……」

「大丈夫、教えて」

私がそう言うと、沙羅は、ゆっくりと話してくれた。

きっかけは、あの私と会った日の後の事。

沙羅が家に帰ると、いつもはいないアルマ様がいたらしい。

沙羅は嬉しくて、アルマ様に話しかけると、すごく驚いたような顔をして

それは、どうしたんだと沙羅に詰め寄ったそうだ。

「それで、沙羅はどうしたのですか?」

「えっと……聖女様が…とだけ言ったと思います」

アルマ様にそう言った瞬間、嬉しそうな顔をしてそれは本当か、と言っていたらしい。小さい声でよく聞こえなかったけれど、やっぱりアイツは俺の事がまだ好きなんだな……と呟いていたらしい。

「なんというか……アイツらしい」

「えぇ……散々あんな事したくせにまだ私に執着してたんですね」

「……あの人は私を婚約者にしたくせに私の事なんて全然見ていない……

それに私の意思なんて無視して婚約者なんかにされて……帰りたい……」

沙羅は、今まで我慢していた感情が溢れてきたのか涙目になりながらそう言った。すると、エミリアが沙羅の手を握った。

沙羅は驚いていたけれど、エミリアは何も言わずただ手を握り続けた。

しばらくそうして落ち着いたのか、ごめんなさい、と一言謝って 私達にお礼を言ってくれた。

「大丈夫、沙羅は何も悪くない……悪いのはあのバカ王子だから」

「こら、バカ王子なんて言ってはダメよ?でも、そうね……馬鹿かもしれないわね、あの人」

「あ、あの……」

「ふふ、大丈夫私達に任せて……あの人には少し痛い目に合わないとダメ

みたいだから……聖女を……沙羅をいじめた事後悔させてあげるわ」

そう言うと、沙羅はとても不安そうな表情をしていた。

だから私は、さらに大丈夫と言って頭を撫でた。

それから、私達は沙羅の話を聞いて色々と作戦を立てた。

まず、アルマ様と沙羅の婚約破棄。これは絶対条件だ。

次に、婚約破棄した後は平民にさせる、これはこれ以上好き勝手させない為。

私の時はそこまでするのは可哀そう……と思っていたけれど、今の話を聞いた後だと、むしろそれくらいしても足りないと思う。

でも、それをするにしても私達だけではダメだ……

「ねぇ、沙羅」

「なんですか?」

「この話、ルーク様に話しても平気かしら?」

「ルーク様……ルカの婚約者でしたっけ?」

「そう!あの人に仕返しするには人手が足りないの……けれど信用できない人には頼めない……けれどルーク様なら……ダメかしら?」

「ううん!あの時あったけれどあの人はいい人そうだったから……」

「良かった、じゃあ……後で、ルーク様とも会ってもらえるかしら?

私からこの話を伝えるのは違う気がするから」

「うん……!本当にありがとう、二人とも」

「いえいえ!私はあのバカ王子に仕返ししたいだけだから!」

「私は……あの人には聖女の大切さを分からせたいだけ」

こうして、私達は二人で手を取り合って、これからの事を話し合った。

待っていてね、アルマ様……私達を敵にしたこと後悔させてあげるから……

「あ、そう言えばルカに手紙を送ったんだけど……届いてない?」

「……やっぱりあの人に止められていたのね」

「多分、手紙が来なかったらルカが直接家に来て会えるとか思ってたんじゃない?あのバカ王子が考える事だもん」

「言いたくはないけれど、本当に馬鹿な人……」

「今後、手紙を送るときは気を付けた方がよさそうね……」

私がそう言うと、沙羅が申し訳なさそうにしてごめんなさい、と言った。

だから、気にしないでと言うと、また泣き出してしまった。

きっと、ずっと我慢していたのだろう。

そんな彼女を慰めながら、私達は今後の計画を立てていくのだった。

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