制約2
今作品には、残虐なシーンや多様な性のあり方が描写されております。
苦手な方はご注意ください。
目が覚めると、僕は森の中にいた。
身体はまだ幼い。
本当に、転生してしまったのか............
すると近くで足音がした。
「お主か」
そこにいたのは、銀色の狼だった。
しかし僕は驚かない。
むしろ食べられて死ねるなら本望だとすら思っていた。
「怯えもしないとはな、、、、」
「怯えて欲しかったのか?殺さないでー!!って言って欲しいのかよ。」
「お主、転生者であろう?」
「なんでお前が知ってんだよ」
「我は、神託を得てこの森に来た。
≪ここに転生せし者が来る。そやつと行動を共にせよ≫とな。」
「ご神託ね、、、、ただの監視役だろ?」
「違う。我はただの傍観者である。そしてお主が成熟するまでの指南役でもある。」
「なにも違わねーじゃんかよ。」
「主の行いを神に報告する義務はない。ただ主と共に行動するだけである。」
「あっそ。もう、、、なんでもいいよ。」
お目付け役までいるとか、どんだけだよ。
「して、お主は何故この世界へと転生してきた」
「、、、、、、死んだからだよ」
「それは知っておる。そうではない。
転生者は皆、死を経験しこの世界へとやってくる。
そして皆等しく、なにかの制約を抱えておる。」
「転生者はみんな制約があるのか?」
「いかにも。我も何人かの転生者に会ってきたが、皆制約を抱えていた。
数多の理由あれど、皆等しく理から外れた者たちだった。
かの者たちは皆、制約に縛られつつも
この世界で生きていくために多くのことを学び、経験をしていた。
そして制約から解放されたと聞く。
転生の理由は聞かぬ。話したくないこともあろう。
ただ、これからを共にする身としてはお主の制約を知っておく必要がある。
お主の制約とは一体どんなものなのだ?」
制約を知る必要って、、、、、ただの興味本位じゃねぇのかよ。
「制約を知ってどうする?」
「先程話した通りじゃ。とくに他意はない。」
「まぁいいけどさ。。。僕の制約は3つ。
1つ、不死であること。
1つ、己の子を成せぬこと。
1つ、記憶を引き継ぐこと。」
「、、、!!!」
「なんで驚いてるんだ?制約はみんなあるものなんだろ?」
「確かに転生者には必ず制約がある。
しかし、皆制約は1つであった。
お主のように複数の制約を持つ者には出会ったことなどない。」
みんな制約は1つだけ??そんなのおかしいだろ!?
「なんで僕だけ多いんだよ!あの神様、僕にだけ制約を多くするとか、いじめか!!」
「まぁ落ち着くのだ。神が与える制約が基本的に1つなのには理由がある。
制約から解放されるのは、長い年月がかかるからじゃ。
そう簡単に解除できるような制約ではないから、普通1つなのじゃ。
そしてその制約には、前世での死に方が関係しておる。」
自殺が理由で制約が増えるとか、ありえねぇだろ!!
「、、、、?お主、体に巻いておる布を外してみよ」
「ん?」
おもむろに体に巻いてあった布を脱いだ。
「、、、、、体を確認してみよ。」
僕は自分の体に目を向けた。
改めて見ても、とても幼い身体だ。5,6歳くらいだろうか。。。。
しかし、僕はそれ以上に驚いたことがあった。
僕は、、、、、、、無性だった。
僕の体は女性でも男性でもない。人形のような体をしていた。
訳が分からなかった。頭が真っ白だ。
本当に僕の身体なのか?そもそも僕は人間なのか!?
「、、、、制約が身体にでているのは初めて見た。
お主も知らなかったようだな。」
「僕は、、、、人間、、、なんだよな?」
「お主がヒューマンであることに間違いはない。ニオイで分かる。
がしかし、無性のヒューマンは見たことがない。
恐らく制約の2つ目、己の子を為せぬこと。
つまりは生殖機能がない状態のことを意味していたのだろう。
お主は、人であって人でない存在になっているようじゃな。」
「人であって人でない............?」
「制約の1つ目、不死であること。
お主、そこに落ちている枝で試してみるとよい。」
近くにあった枝を拾い、僕は大きく振りかぶり手に突き刺した。
「!!!!あぁぁぁぁ、、、、、い、、いてぇ、、、」
傷跡からは血が垂れている。左手が燃えているような熱さだった。
しかし枝を引き抜くと、穴の開いたはずの手は次第に元の形へと戻ってしまっていた。
「、、、なんで、、?傷が、、無くなっている、、、、」
「なるほどの。痛みはあるようだな。
制約は不死であること。痛みを感じつつも死ぬことはできぬということであろうな。」
「痛くても死なないってことは、拷問され続けるようなもんじゃねぇか!!
こんなのが神の与える制約だというのか!!
ふざけるな!!!!人を何だと思ってるんだ!!」
ふざけるな、、、こんな、、、こんな痛い思いをこの先ずっと経験していかないといけないのかよ.........
「なんで、、、、なんでなんだよ.........
この世界でも僕は苦しみ続けるのかよ、、、、、ちくしょう............」
悔しさとやるせなさに涙があふれてしまった。
こんなことをさせるために転生させたのかよ。
こんな思いを味合わせるためにわざわざ転生させたのかよ。
ちくしょう............ちくしょう、、、、、、、、、!!!
何度も地面に拳をぶつけるも、治り続ける体。
傷つけることすら出来ない体に何とも言えない感情が溢れてくる。
「、、、主よ。先程、主の死因については聞かぬと言ったが、撤回しよう。
主は何故、死んだのだ?」
そうだ、僕は死んだんだ。
なのにどうして転生しているんだ?
あぁ、、、僕は何故死んだんだっけ............?
今作品を読んで頂き、誠にありがとうございました。
あなたにとってのセイカイを見つけてください。