漫才「いや異世界に行かせて?」
二人「はいどーもーよろしくお願いします~」
ボケ「僕、異世界に行きたいんですよ」
ツッコミ「何や急に、どうやって行くの」
ボケ「トラックに轢かれると行けるんですって」
ツッコミ「いや死ぬやろ! なんやその無責任な都市伝説」
ボケ「これはボケとかじゃなくて、死んだ後西洋ファンタジー世界に生まれ変わるっていう物語のパターンがあるのよ」
ツッコミ「ああ、異世界転生ってやつ? どんなことすんのよ」
ボケ「モンスターを倒しまくってレベルを上げるのよ」
ツッコミ「ゲームやん! ゲームでやればええやんそれは」
ボケ「いやこれもボケじゃなくそういう話多いのよ。僕達日本人に馴染みの深いファンタジーと言えばRPGだからね。何でもツッコミ入れるのやめて?」
ツッコミ「そりゃすまん……そんでレベル上げてどうすんの」
ボケ「農業とかやってスローライフを送るのよ」
ツッコミ「いやレベル上げた意味! 魔王とか倒せえ!」
ボケ「いやこれもボケじゃなくて、そういうのも多いのよ」
ツッコミ「ああ、ごめん……いやそろそろボケろや~っ!?」
ボケ「……ええ? 変なこと言うと叩くじゃん」
ツッコミ「ならお前は何しに来とんのやここにぃ~!? 役割を担え!!」
ボケ「でもボケようにも、大抵の事は異世界でやり尽くされてるよ?」
ツッコミ「なんやそのボケ殺し、お題ミスやんけ。じゃあその異世界をシミュレーションしてみようや。小ボケでもかましてって?」
ボケ「自分から人にボケさせてどつくのは気持ちいいか? サイコパスめ」
ツッコミ「そういう仕事じゃ! いいからはよ始めて?」
ボケ「――私は異世界の女神です。あなたはトラックに轢かれて死にましたここは死語の世界です。そんなあなたにお願いがあります、強大な"闇"と戦う力を授けるので異世界を救っていただきたいのです」
ツッコミ「ほうほう、俺に出来ることなら頑張りましょう。どんな敵と戦うんですか」
ボケ「あなたはお笑いプロダクションの社長に生まれ変わります、所属する芸人達が契約外の仕事で反社会的勢力からお金を貰っているのです」
ツッコミ「"闇"ってお笑い世界の闇営業やないかい!」
ボケ「あなたには録音を封じる能力を与えます。芸人を呼び出しても録音を気にする必要はありません」
ツッコミ「俺の能力も闇感じるやないかい!……って業界の闇に触れさすなや! 俺ら事務所には感謝しかないですよ!? もっと安全なボケせえ、やり直しや」
ボケ「――あなたはとある家の女の子に生まれ変わりました。あなたには前世の記憶があり、たくさんの事を元から知っていたため天才だと両親にも喜ばれ、魔法の英才教育を施されました」
ツッコミ「なるほど、それで幼くして強い魔法使いになってるってことやな。女の子に生まれ変わるんも面白そうやん」
ボケ「父親はピエール、祖父はアルベール、祖母はミレーヌ、母親は織江。そしてあなたはリカ」
ツッコミ「母親日本人やん、西洋ファンタジーちゃうんか」
ボケ「やがて妹も生まれました、双子のミキとマキです」
ツッコミ「やたら家族構成掘り下げるね? はよ魔法とか使わせてや」
ボケ「しかし平和な日常は怪物によって破壊されます」
ツッコミ「おっ、今度こそちゃんと敵が出てくるんやな」
ボケ「その日あなたたちは思い出した……鳥籠の中に囚われていた屈辱を」
ツッコミ「雰囲気あるやん、なんや魔物に支配されてる世界なんか……いや待て、なんかどっかで聞いたことあるぞ?」
ボケ「壁の向こうから巨人が顔を覗かせたのです」
ツッコミ「それ某有名漫画やないか! 大丈夫かその世界観」
ボケ「家の屋根が剥がされ、巨人がその巨大な手であなたを掴み持ち上げます。そしてニタニタと笑います」
ツッコミ「食われてまうやんけ、覚えた魔法使わな」
ボケ「あなたは動くこともできません。無防備なあなたは服を剥ぎ取られます」
ツッコミ「ええ、何やそれエッチな展開やないか大丈夫か?」
ボケ「そして巨人の用意した可愛い服を着させられます」
ツッコミ「なんでお着替えさせられんねん!?
……いやてかそれリカちゃんや! リカちゃん人形やろ! 父親ピエールだの双子のミキとマキだの、家族構成も何かと思えばリカちゃんファミリーの面々やんけ!」
ボケ「よくぞ見破りました、そうこれは異世界転生ならぬ着せ替え人形転生だったのです!」
ツッコミ「駄洒落かい! ええ加減異世界に行かせえ!」
ボケ「おや、あなたも異世界に行きたくなったようですね。小説家になろうのサイトでたくさん読めますよ?」
ツッコミ「読まさして貰うわ」
二人「どうも、ありがとうございました~!」
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